3. 高齢者世帯の平均所得と収入の内訳

次に、厚生労働省が公表した『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』から、高齢者世帯(※)の1世帯あたりの平均所得金額を見ていきましょう。

※高齢者世帯:65歳以上の人のみで構成されるか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯を指します。

3.1 高齢者世帯における平均所得の内訳

『2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況』によると、高齢者世帯の平均所得は年間314万8000円で、その内訳は以下の通りです。

(カッコ内は総所得に占める割合)

総所得:314万8000円 (100.0%)

【内訳】

  • 稼働所得:79万7000円(25.3%)
    • うち雇用者所得(※):66万5000円(21.1%)
  • 公的年金・恩給:200万円(63.5%)
  • 財産所得:14万4000円(4.6%)
  • 公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円(0.6%)
  • 仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)

高齢者世帯の平均総所得は年額314万8000円で、月額に換算すると約26万円になります。

主な収入源は、所得の約3分の2を占める「公的年金」(月額約16万6000円)と、約2割を占める「雇用者所得」(月額約5万5000円)です。

この所得構成から、多くの高齢者世帯が公的年金を生活の基盤としつつ、仕事による収入で家計を補っている実態がうかがえます。

※雇用者所得:世帯員が勤務先から受け取った給料・賃金・賞与の合計額で、税金や社会保険料などが差し引かれる前の金額です。

4. 年金受給者の確定申告は必要?不要制度とマイナンバーカード活用法

公的年金は所得税法上「雑所得」に分類されますが、一定の条件を満たす場合は「確定申告不要制度」が適用され、確定申告をする必要がなくなります。

4.1 確定申告が不要になる2つの条件

以下の両方の条件に当てはまる場合、納税額が発生したとしても所得税などの確定申告は不要です。

  • 公的年金など(※1)の収入金額の合計が400万円以下で、かつ、その全額が源泉徴収の対象であること。
  • 公的年金などに係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下であること。

※1 国民年金、厚生年金、共済年金などの老齢年金や恩給、確定給付企業年金などが該当します。
※2 生命保険契約などに基づく個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金などが該当します。 

ただし、所得税の還付を受けたい場合(※3)には確定申告が必要です。

また、所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が別途必要になるケースがあります(※4)。

例えば、源泉徴収票に記載されていない生命保険料控除や地震保険料控除などを適用したい場合や、公的年金以外の所得がある場合などが該当します。

ご自身の状況で不明な点があれば、お住まいの市区町村役場に問い合わせてみましょう。

※3 医療費控除や雑損控除などにより、公的年金から源泉徴収された所得税の還付を受けたい場合です。
※4 所得税の確定申告を行えば、その内容が市区町村に連携されるため、改めて住民税の申告をする必要はありません。

4.2 スマホで完結する確定申告:2025年(令和7年)分からの変更点

2025年(令和7年)分の確定申告からは、スマートフォンとマイナンバーカードの連携がさらに強化され、手続きがより簡単になります。

スマートフォンにマイナンバーカード機能を搭載すれば、カードを読み取ることなく、申告書の作成からe-Taxでの送信までが可能になります。

申告書は、国税庁のウェブサイト「確定申告書等作成コーナー」で案内に従って入力するだけで完成し、自動計算機能で計算ミスも防げます。

さらに、マイナポータル連携機能を利用すると、保険料控除証明書や源泉徴収票といった必要書類の情報を自動で取得し、申告書に反映させることができます。

これにより、書類の収集や入力の手間が大幅に削減されるでしょう。

注意点:マイナンバーカードと電子証明書の有効期限

これらの便利なサービスを継続して利用するためには、マイナンバーカードと電子証明書の有効期限に注意が必要です。

期限が切れてしまうと、e-Taxでの電子申告ができなくなります。

確定申告シーズンは市区町村の更新窓口が混雑しやすいため、時間に余裕を持って早めに更新手続きを済ませておくことをおすすめします。

5. まとめ

今回は、公的年金の基本的な仕組みから、実際の平均受給額、そして高齢者世帯の所得構成に至るまで、さまざまなデータをもとに解説しました。

ご自身の状況と照らし合わせて、将来の生活設計をより具体的に考えるきっかけになったのではないでしょうか。

来月の年金支給を前に、家計の計画を見直してみるのも良いかもしれません。

公的年金は老後の生活を支える重要な柱ですが、データが示すように、それだけでゆとりある生活を送るのは簡単ではない場合もあります。

もし将来に不安を感じるようであれば、働き方を見直したり、無理のない範囲で資産形成を検討したりと、早めに次のステップを考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

石津 大希