近年、定年退職後も働き続ける方は増加傾向にありますが、75歳以降になると本格的に年金生活に入る方が多くなります。
主な収入が年金になると、年金だけで生活費がカバーできるかどうか、また、医療費や介護費の負担増に不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
本記事では、75歳以上の後期高齢者世帯の年金受給額や貯蓄額、生活費の平均額について解説します。
また、所得に応じて1〜3割と変動する医療費の自己負担割合についても解説していくので、合わせて確認しましょう。
1. 75歳以上のシニアの年金受給額は平均いくら?
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和6年度の年金受給額の平均は、厚生年金が15万289円、国民年金が5万9310円です。なお、厚生年金には国民年金分も含まれています。
では、75歳以上のシニアの平均受給額はいくらなのか、年齢ごとに以下にまとめました。
1.1 【厚生年金】※国民年金部分も含まれています
- 75歳:15万1410円
- 76歳:15万1241円
- 77歳:15万962円
- 78歳:15万862円
- 79歳:15万3115円
- 80歳:15万3729円
- 81歳:15万5460円
- 82歳:15万7744円
- 83歳:15万9994円
- 84歳:16万2555円
- 85歳:16万3947円
- 86歳:16万5577円
- 87歳:16万5557円
- 88歳:16万6200円
- 89歳:16万6767円
- 90歳以上:16万4027円
1.2 【国民年金】
- 75歳:5万9659円
- 76歳:5万9555円
- 77歳:5万9349円
- 78歳:5万9124円
- 79歳:5万8676円
- 80歳:5万8623円
- 81歳:5万8269円
- 82歳:5万8003円
- 83歳:5万7857円
- 84歳:5万9675円
- 85歳:5万9425円
- 86歳:5万9228円
- 87歳:5万9204円
- 88歳:5万8756円
- 89歳:5万8572円
- 90歳以上:5万5633円
厚生年金+国民年金は15万〜16万6000円前後となっており、高齢になるほど若干高額になる傾向があります。
一方、国民年金はいずれの年齢でも6万円弱となっており、年齢による差はほとんど見られません。
現役時代に主に自営業や個人事業主などだった方は国民年金のみの受給となることがあり、老後の生活費が大きく不足することが考えられます。
では、75歳以上の方はどのくらいの貯蓄があるのか、次章で確認していきましょう。
2. 70歳代の貯蓄額の平均値・中央値
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」によると、70歳代二人以上世帯の貯蓄額の平均値は2416万円、中央値は1178万円です。
平均値が2400万円以上であることから、現在の70歳代二人以上世帯では十分な貯蓄がある世帯が多いという印象を受けるかもしれません。
しかし、中央値が1178万円と1000万円以上も少なくなっていることから、一部の高額な貯蓄を有する世帯が全体の平均を引き上げていると考えられます。
したがって、実際の平均は2416万円よりも少額になるといえるでしょう。
ではより細かく、貯蓄額ごとの世帯割合を確認しましょう。
2.1 【金融資産保有額:世帯割合】
- 金融資産なし:10.9%
- 100万円未満:4.5%
- 100~200万円未満:5.1%
- 200~300万円未満:3.7%
- 300~400万円未満:3.9%
- 400~500万円未満:2.9%
- 500~700万円未満:6.4%
- 700~1000万円未満:6.7%
- 1000~1500万円未満:11.1%
- 1500~2000万円未満:6.7%
- 2000~3000万円未満:12.3%
- 3000万円以上:25.2%
3000万円以上の世帯が最も多く25.2%を占め、次いで2000〜3000万円未満が12.3%、1000〜1500万円未満が11.1%と多くなっています。
一方で、貯蓄なし世帯が10.9%と約1割を占めていることから、貯蓄の十分な世帯とそうでない世帯の差が大きく開いていることがわかります。
3. 75歳以上世帯の1か月の生活費の平均額
総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯のうち世帯主が「65歳以上の無職世帯」における、「75歳以上の世帯」の1カ月の生活費の収支は以下の通りです。
- 実収入:25万2798円
- 非消費支出:3万1563円
- 可処分所得:22万1235円
- 消費支出:24万8460円
- 収支:▲2万7225円
厚生年金や国民年金を主とした実収入25万2798円から、非消費支出(社会保険料や税金)3万1563円が控除されると、可処分所得(手取り額)は22万1235円になります。
そこから食料費や水道光熱費などの消費支出24万8460円を差し引くと、毎月2万7225円の赤字となっています。
老後の収入が年金のみの場合、生活費は赤字になる可能性があるため、現役時代のうちから老後資金を計画的に準備する必要があります。
4. 「75歳以上後期高齢者の医療費」は所得に応じて自己負担割合が異なる
75歳以上の方は後期高齢者医療制度に加入し、医療機関や調剤薬局などで支払う医療費の自己負担が、所得に応じて1〜3割のいずれかになります。
一般所得者は1割負担ですが、一般所得者のうち一定以上の所得がある場合は2割負担になり、さらに現役並み所得がある場合は3割負担となります。
自身の自己負担割合を知りたい場合は、以下のフローチャートで確認可能です。
5. まとめ
75歳以上の二人以上世帯では、毎月の生活費が赤字になる可能性があります。
働くことが難しい年齢になり給与収入を得づらいため、赤字を補填できるように貯蓄が必要になります。
現在のシニア世代は、十分な貯蓄のある世帯とない世帯の差が広がっている状況です。
老後にもまとまった出費や急な出費が生じる可能性があるため、できるかぎりの貯蓄を備えておけるのが理想です。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査2025年」
- 総務省統計局「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「窓口負担2割の対象となるかどうかの主な判定の流れ」
木内 菜穂子