日本金利の上昇に伴い、現在、個人向け国債の金利水準が大きく変化しています。

毎月発行されている個人向け国債ですが、長年にわたり金利は「1%未満」で推移していました。しかし、2025年の金利上昇局面を経て、現在はどの商品も1%を超える水準に到達しています。

「安全性は高いけれど、利益もほとんどない」

そんなイメージを持たれがちな個人向け国債も、金利環境の変化によって、改めて選択肢として検討する価値が出てきたと言えます。この記事では、現在購入できる個人向け国債の種類を整理したうえで、どのタイプがどんな人に向いているのかをわかりやすく解説します。あわせて、前提となる「個人向け国債ならではのメリット」も確認していきます。

これからの資産運用を考える際の参考にしてみてください。

1. 2026年1月の個人向け国債

個人向け国債の金利情報1/3

個人向け国債の金利情報

出所:財務省「個人向け国債」

現在、募集されている個人向け国債のラインナップと金利は以下の通りです。

  • 「変動10」第190回(変動金利型10年満期)
    年率 1.39%(初回)※金利は半年ごとに見直されます
  • 「固定5」第178回(固定金利型5年満期)
    年率 1.59%(固定)
  • 「固定3」第188回(固定金利型3年満期)
    年率 1.30%(固定)

これらを踏まえ、現在の経済状況においてどの商品を選ぶべきか、そして個人向け国債にはどのようなメリットがあるのかを解説します。

2. 個人向け国債はいまどれを選ぶべきか?

1月に販売されている3商品の中で「まず1つだけ選ぶならどれか?」と聞かれた場合、購入の検討をおすすめしたいのは「固定5」です。

2.1 安定的な利益を「確定」できる

「固定5」を推す最大の理由は、現行の3商品の中で表面利率が最も高いうえに、その高金利を満期まで5年間固定できる点にあります。

「変動10」は将来的に金利が上がる楽しみがある反面、下がるリスクもゼロではありません。その点、「固定5」は購入した瞬間に5年間の受け取り金額が確定します。「確実に高い利回りを確保したい」と考える人にとって、この確定利回りは非常に大きなアドバンテージとなります。

過去を振り返って見ると、2023年・2024年の同時期に募集された「固定5」の年利率は、ともにわずか0.23%でした。それと比較すると、今回の1.59%という数字がいかに飛躍的な伸びを見せているかが分かります。 「安全性重視で、不安なく安定的な収益を得たい」という希望を叶えるには、「固定5」はまさに最適な選択肢と言えるでしょう。

2.2 金利上昇の恩恵を取りにいくなら「変動10」

一方で、現在のような金利回復傾向に注目されやすいのが変動型の商品です。変動10は半年ごとに利率が見直されるため、購入時点の利率は固定型より低くても、保有中に利率が上がり、結果として固定型を上回る水準になる可能性があります。

参考として、2024年1月に販売された変動10(第166回)の利子計算期間ごとの利率は、以下のように推移しています。

  • 第1回:0.40%(購入時)
  • 第2回:0.72%
  • 第3回:0.75%
  • 第4回:0.96%
  • 第5回:1.39%

変動10年(第166回)の発行条件2/3

変動10年(第166回)の発行条件

出所:財務省「「変動10年」発行条件」

3. 個人向け国債のメリット

ここからは、固定型・変動型共通の「個人向け国債」自体のメリットについて、改めて整理します。

3.1 元本割れのリスクが限りなく低い

個人向け国債は「債券」であるため、満期時には償還額が支払われることを前提とした金融商品です。さらに、発行体は日本国であるため、日本が破産するなどで債務不履行に陥らない限り、元本は返済されます。

そのため、株式のように価格変動で大きく元本割れしてしまうリスクや、投資先の破綻で資金が戻らないといったリスクは限りなく小さく、安全性の高い資産として位置づけられているのです。

個人向け国債のメリット3/3

個人向け国債のメリット

出所:財務省「個人向け国債」

3.2 安定的な利益を得ることができる

「リスクが極めて低い」にもかかわらず、銀行預金と比較して高い金利収益を確保できるのも、個人向け国債の強みです。

今回のラインナップで比較してみましょう。 2025年時点のメガバンクの普通預金金利は、上昇傾向にあるとはいえ、おおよそ0.3%程度にとどまります。 仮に100万円を1年間運用した場合、税引前の利子は以下のようになり、その差は5倍以上です。

  • 銀行預金(0.3%とする):約3000円
  • 個人向け国債「固定5」(1.59%):1万5900円

個人向け国債は、投資のリスクをほとんど負うことなく、銀行に預けておくよりも遥かに効率よく資産を増やすことができるのです。

3.3 途中売却が可能

さらに、個人向け国債が「使い勝手が良い」と言われる理由の一つに、途中換金の仕組みが挙げられます。中途換金の主なデメリットは、基本的に次の2点のみです。

  • 購入後、最低1年間は保有が必要
  • 中途換金時には直近の2回分(1年間)の利子相当分が差し引かれる

そのため、購入から1年で換金したとすると、利益はないものの元本そのものが少なくなる、というリスクは小さいのが特徴です。

急にお金が必要になった場合でも、比較的柔軟に現金化しやすいという点でも、とりあえずの資金運用の選択肢としても、選びやすい商品であると言えます。

4. おわりに

「投資には興味があるけれど、元本が減るのだけは絶対に避けたい」

もしそう考えて一歩踏み出せずにいるなら、今の個人向け国債は、まさにあなたのために用意された選択肢と言えるかもしれません。

個人向け国債は、長いあいだ「安全だけど増えない」と見られがちでした。けれど金利環境が変わった今は、“守りの資産”のまま、きちんとリターンも狙える場所になりつつあります。

株式のように大きく増える商品ではありませんが、元本割れリスクが限りなく低く、途中換金もしやすい。この「安心して続けられる」性質は、家計の土台づくりにおいて想像以上に強い武器となります。

個人向け国債は「まずは守りの運用でお金の置き場所を整える」その第一歩として大いに検討できる商品です。

参考資料