厳しい寒さが続く1月下旬、いかがお過ごしでしょうか。
来月は2カ月に一度の年金支給月ですね。
「自分の年金は、他の人と比べて多いのか少ないのか」「年金だけで生活していけるのか」といった不安や疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に、現役時代の働き方によって受給額が変わるため、ご自身の状況と照らし合わせて考えることが大切です。
この記事では、60歳代から90歳以上までの年齢別に、厚生年金と国民年金の平均受給額を詳しく解説します。
さらに、年金生活を送るシニア世帯のリアルな家計収支もご紹介しますので、ぜひ将来の生活設計の参考にしてください。
※年金のデータは執筆時点のものです。
1. 日本の公的年金の基本的な仕組み
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
2. 【年齢別】厚生年金の平均受給額一覧(60歳~90歳以上)
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。
厚生労働省年金局が発表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
2.1 60歳代(60〜69歳)の厚生年金受給額
- 60歳:厚生年金9万6492円
- 61歳:厚生年金10万317円
- 62歳:厚生年金6万3244円
- 63歳:厚生年金6万5313円
- 64歳:厚生年金8万1700円
- 65歳:厚生年金14万5876円
- 66歳:厚生年金14万8285円
- 67歳:厚生年金14万9205円
- 68歳:厚生年金14万7862円
- 69歳:厚生年金14万5960円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
2.2 70歳代(70〜79歳)の厚生年金受給額
- 70歳:厚生年金14万4773円
- 71歳:厚生年金14万3521円
- 72歳:厚生年金14万2248円
- 73歳:厚生年金14万4251円
- 74歳:厚生年金14万7684円
- 75歳:厚生年金14万7455円
- 76歳:厚生年金14万7152円
- 77歳:厚生年金14万7070円
- 78歳:厚生年金14万9232円
- 79歳:厚生年金14万9883円
2.3 80歳代(80〜89歳)の厚生年金受給額
- 80歳:厚生年金15万1580円
- 81歳:厚生年金15万3834円
- 82歳:厚生年金15万6103円
- 83歳:厚生年金15万8631円
- 84歳:厚生年金16万59円
- 85歳:厚生年金16万1684円
- 86歳:厚生年金16万1870円
- 87歳:厚生年金16万2514円
- 88歳:厚生年金16万3198円
- 89歳:厚生年金16万2841円
2.4 90歳以上の厚生年金受給額
- 90歳以上:厚生年金16万721円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。
3. 【年齢別】国民年金の平均受給額一覧(60歳~90歳以上)
国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
3.1 60歳代(60〜69歳)の国民年金受給額
- 60歳:国民年金4万3638円
- 61歳:国民年金4万4663円
- 62歳:国民年金4万3477円
- 63歳:国民年金4万5035円
- 64歳:国民年金4万6053円
- 65歳:国民年金5万9599円
- 66歳:国民年金5万9510円
- 67歳:国民年金5万9475円
- 68歳:国民年金5万9194円
- 69歳:国民年金5万8972円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 70歳代(70〜79歳)の国民年金受給額
- 70歳:国民年金5万8956円
- 71歳:国民年金5万8569円
- 72歳:国民年金5万8429円
- 73歳:国民年金5万8220円
- 74歳:国民年金5万8070円
- 75歳:国民年金5万7973円
- 76歳:国民年金5万7774円
- 77歳:国民年金5万7561円
- 78歳:国民年金5万7119円
- 79歳:国民年金5万7078円
3.3 80歳代(80〜89歳)の国民年金受給額
- 80歳:国民年金5万6736円
- 81歳:国民年金5万6487円
- 82歳:国民年金5万6351円
- 83歳:国民年金5万8112円
- 84歳:国民年金5万7879円
- 85歳:国民年金5万7693円
- 86歳:国民年金5万7685円
- 87歳:国民年金5万7244円
- 88歳:国民年金5万7076円
- 89歳:国民年金5万6796円
3.4 90歳以上の国民年金受給額
- 90歳以上:国民年金5万3621円
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、どの年齢でも5万円台となっています。
4. 厚生年金と国民年金の受給額分布(1万円刻み)
厚生年金と国民年金の、60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」について確認していきます。
4.1 厚生年金の男女別平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
厚生年金の受給額分布詳細
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金では、全体の平均年金月額は14万6429円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万6606円、女性10万7200円で、およそ6万円もの開きが見られます。
4.2 国民年金の男女別平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
国民年金の受給額分布詳細
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金では、全体および男女ともに平均年金月額は5万円台となっています。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
5. 65歳以上無職世帯のリアルな家計収支
2025年3月11日に総務省より公表された「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上無職の夫婦世帯と単身世帯のひと月の家計収支を見てみましょう。
5.1 夫婦世帯(65歳以上・無職)の家計収支
実収入の平均月額:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出の平均月額:28万6877円
■うち消費支出(いわゆる生活費):25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支の状況
- 3万4058円の赤字
この夫婦世帯の場合、ひと月の実収入25万2818円に対し、支出は合計28万6877円で、月の家計収支は3万4058円の赤字となっています。
5.2 単身世帯(65歳以上・無職)の家計収支
実収入の平均月額:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金):12万1629円
支出の平均月額:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万956円
- うち諸雑費:1万3409円
- うち交際費:1万6460円
- うち仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
家計収支の状況
- 2万7817円の赤字
単身世帯の場合は、ひと月の実収入13万4116円に対し、支出は合計16万1933円で、月の家計収支は毎月2万7817円の赤字となっています。
6. 年金受給者の確定申告とマイナンバーカード活用法
公的年金は「雑所得」に分類されますが、一定の条件を満たす場合には「確定申告不要制度」が適用され、確定申告をおこなう必要がなくなります。
6.1 確定申告が不要になる2つの条件
以下の両方に該当する場合、計算の結果、納税額がある場合でも所得税等の確定申告は不要です。
- 公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
※1 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など
※2 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など
ただし、所得税の還付を受けたい場合(※3)は確定申告が必要となります。
また、所得税の確定申告が不要な場合でも、生命保険料控除や地震保険料控除など、源泉徴収票に記載されていない控除を適用したいケースや、公的年金などに係る雑所得以外の所得があり住民税の申告が必要となるケースがあります(※4)。
不明な点はお住まいの市区町村に問い合わせましょう。
※3 公的年金から源泉徴収された所得税を、医療費控除や雑損控除などにより取り戻したい場合
※4 所得税の確定申告をすれば、その情報が市区町村に送られるため、改めて住民税の申告をする必要はありません
6.2 スマホで完結する確定申告:2025年(令和7年)分からの変更点
令和7年(2025年)分の確定申告は、スマートフォンとマイナンバーカードの連携が進み、さらに簡単になります。
スマートフォンのマイナンバーカードを利用すれば、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成・e-Tax送信が可能です。
申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で案内に沿って入力すると完成。自動計算機能によって計算ミスも防げます。
また、マイナポータル連携の機能を使うと、保険料控除証明書や源泉徴収票などの情報を自動取得し、確定申告書へ反映できます。書類を集めて入力する手間が省け、確定申告にかかる時間が大幅に短縮できるでしょう。
注意点:マイナンバーカードと電子証明書の有効期限
便利なサービスを継続して利用するために、マイナンバーカードと電子証明書の有効期限には注意が必要です。期限切れになるとe-Taxでの手続きができなくなります。
確定申告の時期は、市区町村の更新窓口が特に混み合うことが予想されます。時間に余裕をもって早めに更新手続きをおこないましょう。
7. まとめ
今回は、60歳代から90歳以上までの年齢別・男女別の年金平均受給額と、シニア世帯の家計収支について詳しく見てきました。
ご自身の状況と比べてみて、いかがでしたでしょうか。
平均額はあくまで目安であり、実際の受給額は現役時代の加入状況によって大きく異なります。
年金だけで生活費をまかなうのが難しい現実も見えてきましたね。
来月の年金支給を前に、改めてご自身の収支を確認し、今後のライフプランを考える良い機会になったのではないでしょうか。
また、年金生活においては確定申告などの手続きも重要になります。
マイナンバーカードを活用した便利な制度なども利用しながら、賢くお金と付き合っていきたいものですね。













