2026年1月も下旬に差し掛かり、寒さが一層厳しくなる季節となりました。
来月は2カ月に一度の年金支給月ですが、日々の物価上昇を考えると、支給額に関心を寄せている方も多いのではないでしょうか。
特に60代以上の方々にとって、公的年金は生活を支える大切な収入源です。
「自分の年金額は平均と比べてどうなのだろう」「同世代の人は一体いくらくらいもらっているのだろう」といった疑問は、多くの方が抱くものでしょう。
この記事では、そうした疑問にお答えするため、厚生年金と国民年金の平均受給額を年齢別や男女別、さらにはライフコース別のモデルケースを交えながら、最新のデータに基づき詳しく解説していきます。
※年金のデータは執筆時点のものです
1. 日本の公的年金の仕組みについて
公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。
これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。
1.1 1階部分にあたる「国民年金」の概要
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
- 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
- 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2025年度月額:6万9308円)
1.2 2階部分にあたる「厚生年金」の概要
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
- 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
- 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり
※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。
一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。
2. 【年齢別】厚生年金の平均受給額一覧(60歳代~90歳以上)
今のシニア層が実際に受け取れる年金額はいくらくらいなのでしょうか。
厚生労働省年金局が発表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」のデータをもとに、年齢ごとの平均年金月額を一覧形式で見てみましょう。
厚生年金(国民年金部分を含む)の平均年金月額を確認します。
2.1 60歳代(60~69歳)の厚生年金受給額
- 60歳:厚生年金9万6492円
- 61歳:厚生年金10万317円
- 62歳:厚生年金6万3244円
- 63歳:厚生年金6万5313円
- 64歳:厚生年金8万1700円
- 65歳:厚生年金14万5876円
- 66歳:厚生年金14万8285円
- 67歳:厚生年金14万9205円
- 68歳:厚生年金14万7862円
- 69歳:厚生年金14万5960円
※65歳未満の厚生年金受給者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられたため、報酬比例部分のみ受給している方も含む。
2.2 70歳代(70~79歳)の厚生年金受給額
- 70歳:厚生年金14万4773円
- 71歳:厚生年金14万3521円
- 72歳:厚生年金14万2248円
- 73歳:厚生年金14万4251円
- 74歳:厚生年金14万7684円
- 75歳:厚生年金14万7455円
- 76歳:厚生年金14万7152円
- 77歳:厚生年金14万7070円
- 78歳:厚生年金14万9232円
- 79歳:厚生年金14万9883円
2.3 80歳代(80~89歳)の厚生年金受給額
- 80歳:厚生年金15万1580円
- 81歳:厚生年金15万3834円
- 82歳:厚生年金15万6103円
- 83歳:厚生年金15万8631円
- 84歳:厚生年金16万59円
- 85歳:厚生年金16万1684円
- 86歳:厚生年金16万1870円
- 87歳:厚生年金16万2514円
- 88歳:厚生年金16万3198円
- 89歳:厚生年金16万2841円
2.4 90歳以上の厚生年金受給額
- 90歳以上:厚生年金16万721円
標準的な年金受給開始年齢は65歳となっています。65歳以降の各年齢で受け取れる厚生年金の平均年金月額は、14万円~16万円台でした。
3. 【年齢別】国民年金の平均受給額一覧(60歳代~90歳以上)
国民年金(老齢基礎年金)について、各年齢で受給できる平均年金月額を見ていきます。
3.1 60歳代(60~69歳)の国民年金受給額
- 60歳:国民年金4万3638円
- 61歳:国民年金4万4663円
- 62歳:国民年金4万3477円
- 63歳:国民年金4万5035円
- 64歳:国民年金4万6053円
- 65歳:国民年金5万9599円
- 66歳:国民年金5万9510円
- 67歳:国民年金5万9475円
- 68歳:国民年金5万9194円
- 69歳:国民年金5万8972円
※65歳未満の国民年金(老齢基礎年金)受給者は繰上げ受給を選択した方。
3.2 70歳代(70~79歳)の国民年金受給額
- 70歳:国民年金5万8956円
- 71歳:国民年金5万8569円
- 72歳:国民年金5万8429円
- 73歳:国民年金5万8220円
- 74歳:国民年金5万8070円
- 75歳:国民年金5万7973円
- 76歳:国民年金5万7774円
- 77歳:国民年金5万7561円
- 78歳:国民年金5万7119円
- 79歳:国民年金5万7078円
3.3 80歳代(80~89歳)の国民年金受給額
- 80歳:国民年金5万6736円
- 81歳:国民年金5万6487円
- 82歳:国民年金5万6351円
- 83歳:国民年金5万8112円
- 84歳:国民年金5万7879円
- 85歳:国民年金5万7693円
- 86歳:国民年金5万7685円
- 87歳:国民年金5万7244円
- 88歳:国民年金5万7076円
- 89歳:国民年金5万6796円
3.4 90歳以上の国民年金受給額
- 90歳以上:国民年金5万3621円
65歳以降の人が受給できる国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は、どの年齢でも5万円台となっています。
4. 厚生年金と国民年金の受給額分布を1万円刻みで解説
厚生年金と国民年金の、60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」について確認していきます。
4.1 厚生年金の男女別平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:14万6429円
- 〈男性〉平均年金月額:16万6606円
- 〈女性〉平均年金月額:10万7200円
※国民年金部分を含む
受給額の分布(1万円刻み)
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金では、全体の平均年金月額は14万6429円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万6606円、女性10万7200円で、およそ6万円もの開きが見られます。
4.2 国民年金の男女別平均月額と受給額の分布
- 〈全体〉平均年金月額:5万7584円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9965円
- 〈女性〉平均年金月額:5万5777円
受給額の分布(1万円刻み)
- 1万円未満:5万8811人
- 1万円以上~2万円未満:24万5852人
- 2万円以上~3万円未満:78万8047人
- 3万円以上~4万円未満:236万5373人
- 4万円以上~5万円未満:431万5062人
- 5万円以上~6万円未満:743万2768人
- 6万円以上~7万円未満:1597万6775人
- 7万円以上~:227万3098人
国民年金では、全体および男女ともに平均年金月額は5万円台となっています。
「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。
5. ライフコース別で見る厚生年金・国民年金の受給額モデル
働き方や生き方が多様化する今、「将来、自分はどのくらいの年金を受け取れるんだろう?」と気になっている人もいるでしょう。
厚生労働省は、今回の年金改定の発表と同時に、「多様なライフコースに応じた年金額の例」も示しています。
ここでは、年金加入経歴を5つのパターン(男性2パターン、女性3パターン)に分類し、「2025年度に65歳になる人」を想定した年金額の概算が提示されています。
5.1 ケース1:厚生年金への加入が中心だった男性の場合
年金月額の目安:17万3457円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万8671円
- 厚生年金:10万4786円
5.2 ケース2:国民年金(第1号被保険者)への加入が中心だった男性の場合
年金月額の目安:6万2344円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8008円
- 厚生年金:1万4335円
5.3 ケース3:厚生年金への加入が中心だった女性の場合
年金月額の目安:13万2117円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万566円
- 厚生年金:6万1551円
5.4 ケース4:国民年金(第1号被保険者)への加入が中心だった女性の場合
年金月額の目安:6万636円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万2151円
- 厚生年金:8485円
5.5 ケース5:国民年金(第3号被保険者)への加入が中心だった女性の場合
年金月額の目安:7万6810円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万7754円
- 厚生年金:9056円
これらの年金額の例を見ても分かるように、厚生年金の加入期間や現役時代の平均収入によって、年金月額は大きく変動します。
特に、現役時代に国民年金と厚生年金のどちらを中心に加入していたかによって、老後の受給額は大きく変わることが見て取れます。
6. 年金受給者の確定申告:「確定申告不要制度」とマイナンバーカード活用法
公的年金は「雑所得」に分類されますが、一定の条件を満たす場合には「確定申告不要制度」が適用され、確定申告をおこなう必要がなくなります。
6.1 確定申告が不要になる具体的な条件
以下の両方に該当する場合、計算の結果、納税額がある場合でも所得税等の確定申告は不要です。
- 公的年金等(※1)の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる
- 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※2)が20万円以下である
※1 国民年金や厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金、老齢共済年金)、恩給(普通恩給)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金、確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金など
※2 生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など
ただし、所得税の還付を受けたい場合(※3)は確定申告が必要となります。
また、所得税の確定申告が不要な場合でも、生命保険料控除や地震保険料控除など、源泉徴収票に記載されていない控除を適用したいケースや、公的年金などに係る雑所得以外の所得があり住民税の申告が必要となるケースがあります(※4)。
不明な点はお住まいの市区町村に問い合わせましょう。
※3 公的年金から源泉徴収された所得税を、医療費控除や雑損控除などにより取り戻したい場合
※4 所得税の確定申告をすれば、その情報が市区町村に送られるため、改めて住民税の申告をする必要はありません
6.2 スマホで完結する確定申告:2025年(令和7年)分からの変更点
令和7年(2025年)分の確定申告は、スマートフォンとマイナンバーカードの連携が進み、さらに簡単になります。
スマートフォンのマイナンバーカードを利用すれば、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成・e-Tax送信が可能です。
申告書は、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で案内に沿って入力すると完成。自動計算機能によって計算ミスも防げます。
また、マイナポータル連携の機能を使うと、保険料控除証明書や源泉徴収票などの情報を自動取得し、確定申告書へ反映できます。書類を集めて入力する手間が省け、確定申告にかかる時間が大幅に短縮できるでしょう。
注意点:マイナンバーカードと電子証明書の有効期限
便利なサービスを継続して利用するために、マイナンバーカードと電子証明書の有効期限には注意が必要です。期限切れになるとe-Taxでの手続きができなくなります。
確定申告の時期は、市区町村の更新窓口が特に混み合うことが予想されます。時間に余裕をもって早めに更新手続きをおこないましょう。
7. まとめ
今回は、公的年金の平均受給額について、さまざまな角度からデータをご紹介しました。
年齢別の一覧表やライフコース別のモデル年金額を見て、「思ったより多い」「自分はもっと少ないかもしれない」など、さまざまな感想を持たれたかもしれません。
大切なのは、これらの平均額はあくまで参考とし、ご自身の年金記録に基づいた見込額を把握することです。
「ねんきん定期便」の確認はもちろん、「ねんきんネット」を利用すれば、いつでも最新の年金記録や将来の受給見込額を試算できます。
来月の年金支給を前に、一度ご自身の状況を確認し、これからの生活設計を見直す良い機会にしてみてはいかがでしょうか。












