4. 60歳代単身世帯の50.7%「年金だけじゃ日常生活費も出せない」と回答
冒頭でも触れたJ-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」によると、年金だけで「日常生活費をまかなうのが難しい」と回答した割合は、単身世帯の60歳代で50.7%、70歳代で35.5%となっています。
二人以上世帯でも60歳代で33.6%、70歳代で26.5%に達しており、公的年金のみで生活を維持することに困難を感じている層が一定数存在します。
こうした状況の主な要因としては「物価上昇による費用増」が全ての世帯類型で5割を超え、最も高い割合を占めています。
次いで「医療費や介護費の個人負担増」を挙げる声も多く、特に70歳代の二人以上世帯では、医療費への不安が30.0%、介護費が18.7%と、年齢が上がるにつれて健康関連の支出増が家計の懸念材料となっている様子がうかがえる結果となっています。
5. まとめにかえて
公的年金は老後の暮らしを支える柱ですが、物価上昇や将来的な医療・介護費の負担増を考えたとき、年金のみで生活費のすべてをカバーすることは容易ではないでしょう。
J-FLECの調査結果からも、多くの世帯がこうした外部要因によって家計が圧迫されることを懸念している様子がうかがえます。
ゆとりある老後を過ごすためには、まず自身の受給見込み額を正確に把握し、家計収支とのギャップを認識することが第一歩です。
その上で、NISAやiDeCoといった制度を活用した資産形成など、早い段階から自助努力による備えを検討することが、将来の安定に向けた現実的な対策となるでしょう。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
菅原 美優

