皆さんは、「ヘリコプターペアレンツ」という言葉をご存知でしょうか。ヘリコプターペアレンツとは、ヘリコプターが一か所でホバリングをして飛び続けるがごとく、親が子どもの上空でしっかりと目を光らせ、子どもに何かマイナスなことが起きようものなら、すぐさま介入する過保護かつ過干渉な親の総称なのだとか。

確かに、子どものことを心配するのは親の愛情。子どもにとって不都合なことはなるべく排除してあげたい、と思うのも親心。でも、度が過ぎた愛情は子どもの足かせにしかなりません。親が過保護、過干渉になってしまうと、子どもは「自分で選択し、行動する」という自由を奪われてしまうのです。

子どもが悩み、苦しんでいる姿をただ黙ってみているのは、親として心苦しいし、胸が痛みます。しかし、それらの苦難を乗り越え、またひとつ成長し、自身に満ちた子どもの姿を見られるのは、何にもかえがたい親の喜びなのです。

そんなキラキラした子どもの姿を見る機会を自らの行為で台無しにしてしまう…。ヘリコプターペアレンツとは、何と哀れなのでしょう。過保護、過干渉は親のためにも子のためにもならないのです。

子どもの翼をもぎとらないで

大きくなるにつれ、子どもたちの背中の翼はどんどんと大きくなっていき、やがて親の元から飛び立ちます。しかし、「自立」の機会を親が見誤ってしまうと、子どもの背中の翼は大きくならないばかりか、背中からポロリと取れてしまうことも。

自ら考え、行動することができない人の人生はとっても不自由で不幸です。どうか、そんな不自由で不幸な子どもが増えないように…と祈るばかりです。

大中 千景