「今年こそ資産形成を」と新年がはじまってから計画建てをされる方もいるかもしれません。近年、日本で「億り人」が過去最多水準に増えているのをご存じでしょうか。中には給与だけで10億円稼ぐ人もいますが、注目すべきは「普通の会社員」が億万長者になるケースです。最新データから、彼らが密かに実践する「資産の育て方」を紐解きます。

1. 【億り人】年間所得1億超は全体の0.2%、給与だけで10億円超「全国に100人以上」

国税庁のデータによると、令和6年分所得税の確定申告を行った人は全国で約2336万人。その所得分布を見ると、ボリュームゾーンは比較的低い層に集中しています。

最も多いのは年収100万円以下で約556万人(23.8%)。一方、年収1000万円超となると約188万人で、全体の1割未満にとどまります。

1.1 年収1億円超は「全体の0.2%」

では、さらにハードルの高い「年収1億円超」はどれほどいるのでしょうか。

国税庁の所得階級別人員によると、年収1億円を超える人は全国で約3万8000人。確定申告者全体のおよそ0.2%にすぎません。

内訳を見ると、以下のように段階的に人数が減っていきます。

  • 1億円超2億円以下:約2万5000人
  • 2億円超5億円以下:約9400人
  • 5億円超10億円以下:約2200人
  • 10億円超:1500人弱

ごく一部ですが、年間100億円超の所得を得ている人も存在します。

1.2 給与だけで「10億円超」の人もいる

さらに注目したいのが「所得の種類」です。1億円超の所得者には事業所得や不動産所得も含まれますが、実は給与所得だけで10億円超を得ている人もいます。

給与所得で10億円を超える人は、全国で112人。

  • 10億円超20億円以下:86人
  • 20億円超50億円以下:25人
  • 50億円超100億円以下:1人

もちろん、これらは一般的な会社員の給与というよりは、大企業の創業家や経営トップが受け取る「役員報酬」などが大半を占めると考えられます。私たちとは少し縁遠い世界の話ではありますが、日本にもこうした規格外のプレイヤーが存在していることは興味深い事実です。

2. 【億り人】株高と円安が追い風に「日本に億り人が増えている」

かつての経済停滞期とは異なり、ここ数年、日本の富裕層は増加の一途をたどっています。2005年からの推移を見ると、リーマンショックや震災の影響で一時的な減少はあったものの、長期的には右肩上がりです。

特に2021年から2023年にかけての伸びは顕著で、富裕層・超富裕層の合計資産額は469兆円にも達しました。この背景には、歴史的な株高と円安の進行によって、保有している金融資産の評価額が大きく膨らんだことが要因として挙げられます。

3. 【億り人】地主や創業者だけじゃない「サラリーマン億り人」の台頭

今回のデータから見えてきた興味深い事実は、これまでの「親が地主」「企業の創業者」といった典型的な富裕層とは異なる、新しいタイプの資産家が登場している点です。

3.1 ①気づけば到達していた「サラリーマン億り人」

特に注目すべきは、いわゆる「サラリーマン億り人」と呼ばれる層です。彼らは超高収入なわけではない、一般的な企業に勤める会社員(サラリーマン)です。特徴は、長いキャリアの中でコツコツと投資を続け、複利の効果を最大限に活かして資産を雪だるま式に増やしたこと。「サラリーマン億り人」とも呼べる彼らは、派手な生活よりも堅実な資産形成を選んだ結果、富裕層の仲間入りを果たしています。

3.2 ②共働きで加速する「スーパーパワーファミリー」

もう一つは、都市部を中心に増えている「スーパーパワーファミリー」などと形容される層です。いわゆるパワーカップルをさらに超え、世帯年収が3000万円を超えるような共働き世帯を指します。彼らは50代にかけて急速に資産を拡大させる傾向にあり、資産を単に守るのではなく、「育てて増やす」という意識が強いのが特徴です。

4. 「どうしたら、サラリーマン億り人になれる?」年収ごとの金融資産内訳に注目!

では、具体的にどのお金の使い方に差があるのでしょうか。2025年12月、J-FLEC(金融経済教育推進機構)が公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」の結果から、2人以上世帯・年収ごとの金融資産内訳に関するデータを見ていきます。

2人以上世帯・種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)3/3

2人以上世帯・種類別金融商品保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」をもとにLIMO編集部作成

データによると、年収が上がるにつれて「債券・株式・投資信託」への投資額が増加する明確な傾向があります。

4.1 年収による投資比率の違い(2人以上世帯)

年収300万円未満

  • 金融資産保有額:858万円
  • 投資(株・債券・投信)の割合:約35.7%

年収1200万円以上

  • 金融資産保有額:5635万円
  • 投資(株・債券・投信)の割合:約50.0%

特筆すべきは、年収1200万円以上の世帯では、保有資産のちょうど半分(50.0%)を投資商品で運用している点です。 一方で、年収300万円未満の層でも、保有資産の約3割が投資に充てられているデータもあります。

これには、すでにリタイアして年金暮らしをしている高齢者世帯(保有資産はあるが所得は少ない層)も含まれていると考えられます。とはいえ、少額から投資ができる環境が整ったことで、収入の多寡にかかわらず「無理のない範囲で資産運用を取り入れる」という選択肢が、以前より身近なものになっているのは確かでしょう。

5. まとめにかえて

データを通して見えてきたのは、日本の富裕層が必ずしも「特別な天才」や「運だけの存在」ではないということです。 彼らの多くは、日々の仕事を続けながら、時間を味方につけてコツコツと資産を育ててきた人たちです。

もちろん、生活状況は人それぞれ異なります。「投資比率50%」というのはあくまで一つの目安であり、全ての人にとっての正解ではありません。大切なのは、周りと比べることではなく、今の生活を大切にしながら、将来のために「少しだけお金に働いてもらう」という視点を持つことではないでしょうか。

新NISAなどの制度も上手に使えば心強い味方になります。まずは無理のない範囲ではじめることが大切です。この春、わが家にとって心地よい「お金の配分」を、パートナーや家族と話し合ってみてはいかがでしょうか。

参考資料

長井 祐人