2019年2月12日に行われた、日産化学株式会社2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:日産化学株式会社 取締役副社長CFO 宮崎純一 氏
2018 3Q実績①
宮崎純一氏:宮崎です。よろしくお願いします。
それでは、まずお手元の資料の2ページをご覧ください。第3四半期の実績ですけども、右に第3四半期だけの増減がございますとおり、営業利益では前年同期に比べてマイナス7億円の44億円という結果となりました。ただし、これはもともとの11月の予想値が32億円ですので、それに対しては12億円の上ぶれということとなりました。
結果として、第1四半期-第3四半期の累計でございますけども、中ほどにございますとおり、売上で1,419億円、営業利益で238億円、純利益で188億円ということで過去最高益を更新をしております。
2018 3Q決算 ハイライト①
それでは、次のページをご覧いただきまして、3ページでございます。この決算のハイライトということで、少しここにまとめて書いてございます。
まず、前年同期比でありますけども、第3四半期単独で今申し上げましたとおり7億円の減益ですが、予想に対しては12億円の上ぶれというということになりました。
セグメント別に見ていきますと、機能性材料については、ディスプレイの好調を主因にYoYでは増益となりました。
化学品については「テピック」の減収、それから原燃料価格のアップということで減益ということとなりました。
農業化学品でありますけれども、もともと「フルララネル」は、この第3四半期は前年比減収ということが予想されておりましたので、全体としても減益ということとなっております。
医薬品につきましては、「ファインテック」の減収を主因に減益ということとなりました。
「2)」でありますけども。続いて、11月に発表しました業績予想との比較であります。営業利益全体としましては、12億円の上ぶれということとなりました。
セグメントで見ていきますと、化学品については下ぶれでありましたが、機能性はディスプレイの好調を主因に上ぶれております。
農業化学品・医薬品も、主として第4四半期からの前倒し出荷が影響しまして上ぶれということとなりました。
「(2)」の第1四半期から第3四半期までの累計値でありますけれども、冒頭で申し上げましたとおり、営業利益は前年同期の224億円に対しまして238億円ということで14億円の増益、6.4パーセントの増益となりまして過去最高益を更新をしております。
機能性材料については、ディスプレイ・半導体が牽引して増益。
農業化学品は、主として「フルララネル」の増収が寄与して増益でございました。
一方で化学品でありますが、価格の上昇・数量増がございましたけども、コストアップ、それから上期のプラントトラブルの影響もございまして減益となっております。
医薬品につきましては、「リバロ」は輸出が拡大しておりますが、国内が減収。それから、「ファインテック」については、昨年度大きな開発品がございまして、これがなくなったということによって減益となっております。
2018 3Q決算 ハイライト②
続いて、4ページをご覧ください。第4四半期のセグメント売上動向について、定性的に記載をしてございます。ここで書いてあることは、17ページに記載の業績予想値の売上高との対比ということになります。
矢印で示しているとおり、現時点で上ぶれるところは上向きの矢印、下向きの矢印は現時点で下ぶれる可能性が大きいと見ているところでございます。横棒は、予想どおりの可能性が高いと見ている部門でございます。
順番に見てまいりますと、ファインケミカルにつきましては、「テピック」一般について、足元で中国市場の減速とアジア市況も軟化傾向にございまして、第4四半期としますと売上の下ぶれの可能性が大きいと見ております。
続きまして、基礎化学品では「メラミン」でございますけども。「テピック」同様、中国市場の減速というものがございまして、現状アジア市況の低下が見られております。したがって、こちらも下ぶれの可能性が大きいと見ております。
機能性にまいりまして、ディスプレイでございますけれども、「サンエバー」。第3四半期までは非常に好調を維持しておりましたが、第4四半期でスマホ市場全体の減速感、それから台湾のCPTが12月に民事再生法を申請いたしました。この影響で、下ぶれの可能性が大きいと見ております。第4四半期は、CPTだけで3億円から4億円の売上を当初予算で見ておりましたので、これがなくなるという影響がございます。
半導体につきましては、こちらはARC®・多層の合計で見ますと、ほぼ第4四半期の予想どおりな可能性が大きいと見ております。
無機も同様でございます。
続いて、農業化学品にまいります。まず一般農薬でありますけれども、先ほど申し上げましたとおり、第3四半期への第4四半期からの前倒し出荷というのが多く見られましたので、第4四半期はその反動で下ぶれの可能性が大きいと見ております。
「フルララネル」につきましては、現時点では第4四半期の予想どおりの可能性が大きいという推定でございます。
続いて「リバロ」でありますけれども、第3四半期へ輸出の前倒し出荷があったということで、この反動で下ぶれの可能性が大きくなると見てございます。
それから「ファインテック」でありますけども、こちらも第4四半期から第3四半期への前倒し出荷がございましたので、第4四半期はその反動の下ぶれと見ております。
現状でまだ3ヶ月ございますので、通期の業績予想については変更はございません。
2018 1-3Q実績
続いて、5ページはとばしまして、6ページにいっていただきたいと思います。6ページは第3四半期の実績でありますけども、そこの株主還元をご覧ください。
配当につきましては、中間40円・期末42円ということで変更はございません。それから自己株式取得でございますけども、40億円の自己株式取得を行うということで本日発表してございます。
それから、総還元性向でございますけども。今の自己株式取得で40億円、それから上期に取得しました50億円の、合計90億円。それから、配当を1株あたり82円という計算でいたしますと、総還元性向は70.5パーセントという数字となりまして、お約束どおりの数字と見ております。
キャッシュフロー
続いて、7ページをご覧ください。キャッシュフローでございます。
左から2列目、2018年の第1四半期から第3四半期のところで特徴的なのは、借入金の増減でありまして、前年同期に比べましてマイナス208億円ということで、30億円近く借入返済を増やしてございます。
これは、現預金の残高については、期中はなるべくぎりぎりまで小さくしようということで、借入金を期中で減らしている関係でございまして。したがって、現預金の残高は12月末で231億円ということで、前年同期に比べて34億円低い水準となっております。
一方で、年間の予想でありますけども。一番右側の2018年11月の予想と同じですが、1点だけ変えております。それは自己株式の取得でありまして、(1)の注にありますとおり、この紙の中では、40億円を新たに取得を発表しました金額を入れてございます。そのほかの数字は変えておりません。
そうしますと、期末の残高は377億円ということで、2018年3月とほぼ同額と見ております。
キャッシュフローにつきましては、これから期末に向かっては運転資金が増えてまいりますので、借入等は増えていくということと思っております。
2017-18 四半期別セグメント別営業利益
続いて、10ページのセグメント別の営業利益をご覧いただきます。
第3四半期の実績でありますけども、全体で44億円。化学品で10億円でありまして、前年からはマイナス2億円、それから業績予想に対してはマイナス4億円という仕上がりとなりました。
機能性材料は43億円でありまして、前年同期からは3億円のプラス、それから業績予想からは8億円の上ぶれでございます。
農業化学品は、前年がマイナス6億円で、今期がマイナス13億円でありますけども、ほぼ業績予想と同じ水準でございます。
医薬品でありますけども、前年が6億円、今期が4億円ということでありますが、もともと予想では1億円でございましたので、大きく上ぶれる数字となっております。
ということで、全体として44億円で、前年に比べては7億円の減益でございますけども、業績予想からは12億円の上ぶれという数字でございました。
主要製品売上高成長率 2018 1-3Q①
続いて、11ページの主要製品売上動向であります。
まず、化学品のファインケミカルでありますけども、「テピック®」につきましては、第3四半期はマイナス5パーセントでありますけども、これは若干の上ぶれであります。もともと、第3四半期まで一般の「テピック®」は出荷を抑えておりましたが、それでも若干の上ぶれの出荷ということとなりました。
環境化学品は下ぶれと書いておりますけども、少額の下ぶれでありまして、ほぼ予算どおりの数字でございました。
続いて「メラミン」でありますけども、第3四半期33パーセント増ということになりました。値上げ等もございましたが、12月からは中国の市場の変化ということもありまして、下ぶれしております。
尿素・「AdBlue®」は上ぶれ。
高純度硫酸は、国内のお客様の生産が若干下ぶれたということで、下ぶれの数字となっております。
続いて、ディスプレイでありますけども。まず、「サンエバー®」は前年同期比プラスの9パーセントということでありまして、引き続きスマホ向けが好調に推移した結果、上ぶれとなりました。
半導体にまいりますと、KrF(ARC®)・ArF(ARC®)、それから、DRAMの生産が思ったよりも大きかったということもありまして、上ぶれる結果となっております。
その他半導体材料、多層材料のところはほぼ予想どおりでありまして、全体としてプラス19パーセントという数字は第3四半期の予想値を上ぶれております。
続いて「スノーテックス®」でありますけども、プラス1パーセント。一般向けはほぼ予想どおりでありましたけども、シリコンウェハー研磨・CMP研磨のところが上ぶれた結果であります。
オルガノゾル・モノマーゾルはプラス12パーセントというYoYですが、米国での3D光造形向けのモノマーゾルの出荷が下ぶれまして、計画対比では下ぶれであります。
オイル&ガス材料のところも、下ぶれということとなりました。原油価格は思ったほど上がっていないということと、それからシェールオイル業者が、ほぼ設備等にかける予算が尽きてきたということで、マイナスという数字となっております。
主要製品売上高成長率 2018 1-3Q②
続いて、農業化学品。12ページにまいります。
「ラウンドアップ」でありますけれども、第1四半期から第3四半期でマイナス11パーセントでありますが、第3四半期自体をとりますと上ぶれの数字となりました。サンフランシスコの判決影響は、これを見る限り出てきておりません。
「フルララネル」につきましては、前年同期から大きく伸びております。若干第3四半期から第2四半期に前倒している分もありますので、数字的には若干のマイナスでございました。
続いて、「アルテア®」です。基本的には好調でありますけども、国内で第3四半期から第4四半期に後ろ倒しになった出荷がございまして、こちらは前年同期ではマイナスということになっております。
続いて、「タルガ®」「パーミット®」であります。このあたりは、ほかの品目もそうなんですが、輸出が全体として上ぶれております。ほぼ、第4四半期から第3四半期への前倒し要因がここに入ってきております。
医薬品にまいりますと、「リバロ®」でありますけども、マイナス6パーセントというYoYです。これ自体は輸出が第4四半期から第3四半期に前倒しておりますので、計画比では上ぶれであります。
「ファインテック®」のところが、マイナス38パーセント。これは先ほど申し上げましたとおり、昨年2億円超の大型な一発の開発品がございまして、それがなくなったという影響もあってマイナス38パーセントです。計画対比でいきますと、前倒し出荷があったということで上ぶれだったと見ております。
化学品セグメント収益動向
続いて、各セグメントの収益動向について触れたいと思います。13ページをご覧ください。
まず、左側の化学品の前年比でありますが、今ご説明しましたような結果でありまして。ファインケミカルは3行目でありますが、売上高が減少、営業利益も減少ということとなりました。
基礎化学品でありますけども、売上高はア系の価格上昇もありまして増えております。原燃料等コストも上がりましたが、営業利益としますと若干の増益でございました。
セグメント全体としますと、売上高では4億円の増。営業利益では、ファインケミカルの利益の減少がございまして、マイナスの2億円ということとなりました。
右側にまいりまして、第3四半期の業績予想比でありますが、ファインケミカルにつきましては、売上高・営業利益ともに下ぶれております。基礎化学品も同様に下ぶれております。全体として、売上高でマイナス6億円、営業利益でマイナス4億円の下ぶれという結果となっております。
機能性材料セグメント収益動向
それから、その下の機能性材料セグメントにまいります。
第3四半期でありますけども。左側をご覧のとおり、「サンエバー®」の増収、それから半導体の増収ということで、無機は若干の減収でございますけども、全体としますと固定費の増加8億円を吸収して、売上高で15億円、営業利益はプラスの3億円という結果となりました。
右側が、その業績予想比でありますけども、「サンエバー®」・半導体ともに売上高が上ぶれております。その結果、売上高では8億円の上ぶれ、営業利益でも8億円の上ぶれという非常に好調な結果となりました。
農業化学品セグメント収益動向
続いて、農業化学品。15ページにまいります。
第3四半期の前年比が左側でありますけども、「グレーシア」「ライメイ®」「ラウンドアップ」「アルテア®」の国内・「パルサー®」等が増収となっております。「フルララネル」については、前年同期からは大きく減収でございます。
全体としては、固定費増加の4億円もございまして、売上高でいきますとマイナスの5億円、営業利益ではマイナスの7億円という結果でありました。
ただし、右側の業績予想比見ていただきますとおわかりのとおり、「グレーシア」が第4四半期から第3四半期への前倒し等、主として輸出で前倒しの上ぶれが大きく出ております。その結果、売上高ではプラスの2億円、営業利益では1億円の計画比という数字となりました。
医薬品セグメント収益動向
続いて、医薬品であります。
左側の前年比でありますけども、「リバロ®」は国内が減収、輸出が増収ということですが、ネットでは減収。「ファインテック®」は、再三申しておりますけども減収。結果として、売上高・営業利益ともにマイナスということとなりました。
ただ、右側にまいりまして業績予想比でありますけども、「リバロ®」それから「ファインテック®」ともに、売上高が上ぶれております。いずれも第4四半期からの前倒しということでございますけども、結果としては売上高で6億円、営業利益で3億円の増収ということとなりました。
以上で、第3四半期のご説明をいたしました。