4. 【老後資金の目標】「平均」ではなく「自分基準」で考える
4.1 「平均貯蓄額」は安心材料とは限らない
ここまで見てきたとおり、60歳代の貯蓄額には大きなばらつきがあります。平均値や中央値は、全体像を把握するうえで参考になる数字ですが、それだけで老後の安心度を判断することはできません。
とくに、3000万円以上の貯蓄がある世帯が一定数存在する一方で、金融資産をほとんど持たない世帯も少なくなく、同じ60歳代でも家計状況は大きく異なります。
4.2 重要なのは「貯蓄額」より「収支の持続性」
老後資金を考える際に重視したいのは、貯蓄額そのものよりも、年金収入と生活費の差がどの程度生じているかという点です。
たとえば、毎月数万円の赤字であっても、その状態が続けば、貯蓄は年単位で確実に減っていきます。数字としての貯蓄額が多く見えても、生活費とのバランス次第では安心とは言い切れません。
4.3 老後資金は「何年もつか」で考える
老後の家計を考えるうえでは、「いくら持っているか」ではなく、「現在の生活水準を何年維持できるか」という視点が重要です。
年金収入でどこまで生活費を賄えるのか、不足分を貯蓄でどの程度補う必要があるのかを整理することで、老後資金の現実的な目安が見えてきます。
平均的な数字に自分を当てはめるのではなく、自身の年金額や生活費を起点に考えることが、無理のない老後資金計画につながります。
5. まとめにかえて:老後に向けた貯蓄は、生活費と年金から逆算して考えよう
老後に向けた資産形成は、ゴールを明確にした方が継続しやすくなります。
60歳代までに3000万円を貯められたら理想的に感じるかもしれませんが、金額そのものを目標にするよりも、自分に必要な老後資金を見極めることが重要です。
リタイア後に想定される生活費と、受け取れる年金額との差が分かれば、目指すべき貯蓄額も自然と見えてきます。
この冬は、まずご自身の年金受給額を把握するところから、老後資金の準備を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
マネー編集部貯蓄班
著者
マネー編集部貯蓄班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、大手証券会社やメガバンク等の金融機関にて勤務経験のある編集者が中心となり、金融庁や総務省など官公庁の公開情報等をもとにお金の課題に寄り添う専門チームです。
主なメンバーは野村證券株式会社出身の宮野茉莉子、SMBC日興証券株式会社出身の安達さやか、地方自治体職員出身の太田彩子、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子、株式会社三菱UFJ銀行出身の中本智恵、日本生命保険相互会社出身の村岸理美など。
編集者の多くは、金融機関にて個人リテール業務を経験。若年層からシニア層、富裕層に至るまで、幅広い顧客に対し、投資信託・保険を中心とした総合的なライフプランニングを実行してきた。なかには、リテール営業で社内トップの実績を持ち、行内で表彰された実力者も。人材育成や社内教育にも携わるなど、金融知識と実務経験の両面で信頼される編集者が在籍しています。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年6月23日)
監修者
二種外務員資格(証券外務員二種)記者/編集者/校閲者/
【保有資格】
ニ種外務員資格(証券外務員二種)・相続診断士・認知症介助士・終活ガイド資格1級保有。
【経歴】
二種外務員資格や相続診断士などの資格を保有し、「お金とくらし」にまつわる情報を専門的かつ丁寧に発信する金融メディア編集者・ライター。
早稲田大学第一文学部史学科卒。人文・社会系一般書籍、中学・高校社会科教材、就職試験問題の制作関連業務で15年以上の経験を持つ。また、大手人材派遣会社における採用管理業務などの実務経験もある。
現在は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア~LIMO(リーモ)~』において、金融系メディアの編集者兼執筆者として、コンテンツ制作や編集を担当。
総務省「家計調査」・厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業の概況」・J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査」などの一次資料に基づくデータ記事の執筆に強み。
専門家と実務家が発信する金融経済ニュースサイト『LIMO&ファイナンス』でも記事執筆をおこなう。紙媒体での経験に加え、家族の介護を通じて得た知見を生かしながら、「お金とくらし」にまつわる情報を丁寧に発信している。(2026年7月9日更新)