2025年12月、厚生労働省年金局より最新の年金データ(令和6年度版)が公表されました。シニア世代が受け取る平均年金月額は、ここ数年、右肩上がりで推移しています。

【年度別】平均年金月額の推移(国民年金/厚生年金)※厚生年金の月額には国民年金が含まれます

  • 2022年度末:国民年金 5万6316円 / 厚生年金 14万3973円
  • 2023年度末:国民年金 5万7584円 / 厚生年金 14万6429円
  • 2024年度末:国民年金 5万9310円 / 厚生年金 15万289円

この上昇の背景には、近年の物価・賃金上昇に伴う年度ごとの年金額の見直しや、共働き世帯の増加によって厚生年金に加入して働く女性が増えたことなど、複数の要因があると考えられます。

さて、現役時代に会社員や公務員として厚生年金保険に加入していた方は、老齢基礎年金(国民年金)に上乗せして厚生年金を受け取ります。厚生年金は現役時代の「加入期間」や「年収」によって金額が決まるため、受給額に大きな個人差が生まれるのが特徴です。

2024年度末のデータでは、厚生年金の平均は約15万円となっていますが、これはあくまで平均値。実際には、「月額10万円未満」と「月額20万円以上」、どちらを受給している人が多いのでしょうか。

この記事では、最新の年金データから受給額ごとの人数分布を確認し、現代シニアの年金事情を覗いていきます。

1. 公的年金のしくみをおさらい

日本の公的年金制度は「2階建て」

厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

公的年金は、原則として2カ月に一度、偶数月の15日に支給されます。ただし、15日が土日祝日の場合は、直前の平日に前倒しで振り込まれます。

日本の年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2層構造です。国民年金は年金のベースとなる性格から「基礎年金」ともいい、加入対象の働き方や立場は問いません。厚生年金は、会社員や公務員など、企業や官公庁などに雇用される人が、国民年金に上乗せして加入する年金です。

各制度のあらましを、整理しておきましょう。

1.1 国民年金(1階部分)

  • 加入対象:原則として、日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
  • 年金保険料:全員一律(※1)
  • 老後の受給額:40年間(480カ月)欠かさず納めれば満額受給(※2)
  • 被保険者:第1号~第3号(※3)

※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
※3 第1号被保険者は農業者・自営業者・学生・無職の人など、第2号被保険者は厚生年金の加入者、第3号被保険者は、第2号被保険者に扶養されている配偶者

1.2 厚生年金(2階部分)

  • 加入対象:会社員や公務員、またパート・アルバイトで特定適用事業所(※4)に働き一定要件を満たした人が、国民年金に上乗せで加入
  • 年金保険料:収入に応じて決まる報酬比例制(※5)
  • 老後の受給額:年金加入期間や納付済保険料によって、個人差が出る
  • 被保険者:第1号~第4号(※6)

※4 1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※5 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※6 第1号は、第2号~第4号以外の、民間の事業所に使用される人、第2号は国家公務員共済組合の組合員、第3号は地方公務員共済組合の組合員、第4号は私立学校教職員共済制度の加入者

次章では、国民年金・厚生年金それぞれの平均年金月額を、厚生労働省の一次資料を参考に確認していきましょう。