2024年の新NISA制度開始に伴い、個人の投資市場は拡大を続けており、投資は多くの人にとって身近な選択肢となりつつあります。金融庁は、今後5年間でNISA口座開設数を倍増させる目標を掲げており、そのための環境を整えていくことを表明しており、その流れはますます加速することが予想されます。

もはや投資は、一部の資産家や専門家だけのものではありません。

そこで本記事では、長期的な資産形成のための手段である「積立投資」について、3つの投資金額パターンを用いて30年間のシミュレーションをご紹介します。

時間を有効活用することで安定的な資産成長を目指す積立投資の具体的な効果を得ることができます。1月の今だからこそ、将来を見据えたお金との向き合い方を考えるきっかけとして、ぜひ本シミュレーションを資産形成の参考にしてみてください。

1. 投資シミュレーション

今回は、利回り3%で30年間の積立投資を行った場合の、最終資産のシミュレーションを3パターンの投資金額を用いて行っていきます。

【パターン1〜投資金額1万円】

将来の運用資産額(月額1万円)1/5

将来の運用資産額(月額1万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 投資元本:360万円
  • 運用利益:219万円
  • 最終資産:579万円

【パターン2〜投資金額2万円】

将来の運用資産額(月額2万円)2/5

将来の運用資産額(月額2万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 投資元本:720万円
  • 運用利益:437万円
  • 最終資産:1157万円

【パターン3〜投資金額3万円】

将来の運用資産額(月額3万円)3/5

将来の運用資産額(月額3万円)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

  • 投資元本:1080万円
  • 運用利益:656万円
  • 最終資産:1736万円

今回のシミュレーションにより、「少額からでも、長期で続ければ資産は大きく成長する」ことがよくわかるのではないでしょうか。

具体的には、月1万円の積立で30年後には200万円以上、月3万円なら650万円以上の利益が見込める結果となりました。たとえ月1万円でも、普通預金に預けておくだけでは決して得られないリターン結果となっています。この結果は、30年という長期間の時間を味方につけた「複利の力」が生み出した効果と言えます。

もちろん、投資である以上、思うように利益が伸びなかったり、元本割れをしたりというリスクもゼロではありません。しかし、新NISA制度のつみたて投資枠を活用し、長期的な視点で分散投資を行うことで、価格変動リスクを大幅に軽減できます。

たとえ少額からでも、なるべく長期的な投資を行い、時間の味方につけることが資産形成の鍵となるのです。

2. 新NISA制度による積立のメリット

「投資は難しそうで、何から始めたらいいか分からない…」 そんなふうに投資にハードルを感じている方にとって、新NISAは心強い味方です。この制度は、特に投資初心者の方が一歩を踏み出しやすいように設計されています。ここからは、新NISAで積立投資を始める主なメリットを2つお伝えします。

2.1 非課税で運用できる

新NISA最大の魅力は、投資で得た利益に税金がかからない「非課税制度」であることです。

通常、投資の利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座内での運用ならこれがゼロになります。特に、複利効果で利益が大きくなりやすい長期の積立投資では、この非課税メリットが絶大な効果を発揮し、資産形成の強力な追い風となります。

NISAの特徴(運用益が非課税)4/5

NISAの特徴(運用益が非課税)

出所:金融庁「NISAを知る」

具体例として、つみたて投資枠で50万円かけて購入した投資信託が将来100万円の価値になった場合、一般口座では売却益50万円に対して約10万円の税金が差し引かれますが、NISA口座なら100万円を丸ごと手にすることができるのです。

2.2 初心者でも安心して商品を選択できる

新NISA制度の「つみたて投資枠」では、金融庁による厳格な基準を満たした投資信託のみが対象となっています。これらは長期投資に適した商品として、低コスト設計され、適切な分散投資が組み込まれています。

投資初心者にとって最大の障壁である「何を選べばよいかわからない」という不安を解消し、専門知識がなくても比較的リスクを抑えた資産運用をスタートできる環境が整っています。このような制度設計により、投資未経験者でも長期的な資産形成への一歩を踏み出しやすくなっているのです。

3. NISA制度のこれから

NISAの利用は幅広い世代で広がっているものの、あらゆる世代が自身のライフプランに沿った形で長期・安定的な資産形成を行えるような環境にするためには、NISA制度の一層の充実が必要であると考えられています。

ここからは、上記の趣旨のもとで金融庁から発出された、2026年の税制改正要望のポイントをお伝えします。

NISA対象商品の拡充を含む制度の充実(要望項目概要)5/5

NISA対象商品の拡充を含む制度の充実(要望項目概要)

出所:金融庁「令和8(2026)年度 税制改正要望について」

3.1 商品の拡充

前述したとおり、現行の新NISA制度では、金融庁による厳格な規制のもと、選択可能な商品にはある程度の制限が設けられています。特につみたて投資枠においては、「長期・積立・分散投資に適する」と金融庁が認定した商品のみが対象となっています。

今後、より幅広い世代にNISA制度の利用を促進するためには、商品ラインナップの拡充が重要な施策の一つとして検討されており、2026年の金融庁税制改正要望においても、この点が挙げられています。

3.2 対象年齢の見直し

新NISA制度における成長投資枠・つみたて投資枠は、現在いずれも18歳以上が対象となっています。かつて存在した「ジュニアNISA」は18歳未満を対象としていましたが、2024年の新NISA開始とともに廃止されました。

しかし、金融リテラシー教育の広がりと若年層の投資意識の高まりを背景に、若い世代からのNISA制度活用ニーズが今後増加すると予想されています。この状況を踏まえ、2026年の金融庁税制改正要望では、こども家庭庁との共同要望として「こども支援の一環としての、つみたて投資枠における対象年齢等の見直し」が提案されています。

4. おわりに

今回のシミュレーションを通じて、将来の資産設計について少しイメージが湧いたのではないでしょうか。

「少額でも、一日でも早く始め、長く続けること」によって、複利の力を味方にして将来の資産を大きく育てられる可能性が高まります。これは特別な才能や莫大な資金がなくても、誰にでも手にできる資産投資の形です。

さらに、新NISA制度を活用することで、非課税という大きなメリットに加え、国が初心者のために選び抜いた商品から選択することができるため、資産形成の第一歩を力強くサポートしてくれます。

まずは無理のない範囲で、あなたの未来のための「最初の1万円」を積み立ててみてください。小さな一歩が、10年後、20年後、そして30年後のあなたを支える、何より大きな資産へと成長していくはずです。

参考資料