本日2026年1月27日、衆議院選挙が公示され、日本の行く末を決める熱い戦いが始まりました。厳しい寒さが続く季節ですが、政治への関心とともに私たちの「お財布事情」への不安も高まっているのではないでしょうか。

「昇給したはずなのに、なぜか手取りが増えた実感がない…」そんな疑問を抱いたことはありませんか?今回は最新の人口調査結果をもとに、働く人が増えても負担感が強まる理由と、私たちが直面している「国民負担率46.2%」の正体について解説します。

1. 「支え合いが限界突破?」およそ3人に1人が高齢者【人口動態の現状】

日本の人口構造はいま、大きな転換点を迎えています。2026年1月時点の推計では、総人口は前年より約60万人減少しました。一方で、65歳以上の高齢者が占める割合は29.4%に達し、約3人に1人が高齢者という状況です。

とくに医療や介護の必要性が高まる75歳以上の人口は、すでに2118万人を超えており、今後も増え続けると見込まれています。その一方で、将来の担い手となる15歳未満の人口は、この1年で2.6%以上減少しました。人口が減るだけでなく、世代のバランスそのものが大きく変わりつつあります。

1.1 働き手である「支える側」を上回る「支えられる側」の増加

こうした中、公的年金制度を支える側では変化も見られます。女性や高齢者の就業が広がったことで、会社員や公務員など厚生年金に加入する「第2号被保険者」の割合は、2020年には67%まで拡大しました。

働く人を増やすことで、現役世代の減少による影響を一定程度カバーしてきたと言えます。しかし、その努力を上回るペースで高齢化が進んでいるのも事実です。いま私たちが直面しているのは、単なる「支える側」と「支えられる側」の対立ではありません。

今の高齢者世代もかつては現役として社会を支え、今の現役世代も将来は給付を受ける側へと回ります。社会保障とは、そうした人生の異なるステージにいる人々が手を取り合う「生涯を通じた支え合い」の仕組みです。

しかし、2026年現在の人口推計が示す現実は、その「支え合いのバランス」が構造的な限界を迎えつつあることを示唆しています。働き手を増やす取り組みを続けながらも、社会全体でこの大きな変化にどう向き合っていくかが問われています。

2. 「国民全体の所得、半分は徴収される?」55年で負担は約2倍に!【国民負担率46.2%】

高齢化が進むと、私たちの家計にどのような影響が出てくるのでしょうか。その一つの指標が、税金と社会保険料を合わせた「国民負担率」です。厚生労働省が公表している「国民負担率(租税負担・社会保障負担)の推移」を見てみましょう。

国民負担率(租税負担、社会保障負担)の推移3/4

国民負担率(租税負担、社会保障負担)の推移<

出所:厚生労働省「社会保障の負担」

1970年度の国民負担率は24.3%でしたが、2025年度の見通しでは46.2%に達しています。これは、「国民全体の所得(国民所得)のうち、約46%が税金や社会保険料として負担」しているということになります。さらに、国が抱える財政赤字を加味した「潜在的な国民負担率」は48.8%とされており、制度を維持するための負担が、長期的に大きくなってきていることが読み取れます。

給料明細を見て「思っていたより手取りが少ない」と感じる場面が増えているとすれば、それは個人の感覚の問題ではなく、社会全体の構造変化が反映された結果とも言えそうです。

さらに、注目したいのは「負担の中身」です。1970年度と比べると、社会保障負担の増加幅が特に大きく、高齢化の進展に伴い、年金・医療・介護を支えるための負担が積み重なってきました。また、財政赤字は、現在の負担だけで賄いきれなかった分を将来に回している状態とも言え、今の世代だけでなく、次の世代にも影響を及ぼす要素となっています。

このように、国民負担率の上昇は、単なる「税金が高い」という話ではなく、人口構造の変化と社会保障を支える仕組みの結果として、現役世代一人ひとりの負担が相対的に大きくなっている現実を映し出しています。

3. 「働き盛りが最も苦しい?」給付と負担の不均衡【世代間ギャップ】

国民負担率の上昇を、もう少し身近な視点で見てみましょう。厚生労働省の資料「ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ」は、人の一生を通じて、どの時期に「給付」を受け、どの時期に「負担」を担っているのかを示したものです。

ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ4/4

ライフサイクルでみた社会保険及び保育・教育等サービスの給付と負担のイメージ

出所:厚生労働省「社会保障の給付と負担(ミクロベース)」

これによると、人生の初期である幼少期には、出産・育児支援や保育、義務教育などを中心に「給付」が多いことがわかります。また、高齢期には老齢年金や医療、介護といった給付が大きくなります。

一方で、20代後半から50代にかけての働き盛りの時期は、給付よりも負担が大きく上回る期間が長く続きます。この時期には、所得税や住民税に加え、健康保険料や厚生年金保険料といった社会保険料の負担が継続的に発生します。図では、現役世代の期間にわたって、負担が積み重なっていく様子が示されています。

さらに、子育て世代にあたる年代では、日々の生活費に加えて、保育料や教育費といった支出も重なります。その中で税や社会保険料を負担するため、「収入はあるのに、手元に残りにくい」と感じる人が少なくない背景がうかがえます。

このように、社会保障制度は人生全体で見れば支え合いの仕組みですが、特に現役世代の期間に、負担が集中しやすい構造になっていることが、ライフサイクルの視点から見えてきます。

4. まとめにかえて

今回は、2026年現在の日本の人口構造と国民負担率の現状について解説しました。最新のデータが示す通り、約3人に1人が高齢者という社会では、現役世代一人ひとりの負担が相対的に大きくなるのは避けられない構造的な問題です。

国民負担率46.2%という数字は、私たちが人生の働き盛りにおいて、いかに社会を支える側に回っているかを物語っています。「手取りが増えない」と嘆くだけでなく、まずは給与明細の控除項目を正しく理解し、制度の仕組みを知ることから始めてみてはいかがでしょうか。

そのうえで、NISAやiDeCoといった税制優遇制度を賢く活用し、自分自身の手で「将来の安心」を積み上げていく主体的なアクションが今こそ求められています。

参考資料

橋本 優理