将来の年金生活に対し、漠然とした不安を抱えている方は少なくありません。老後の収入の柱となる年金は、現役時代の加入状況によって「国民年金のみ」か「国民年金+厚生年金」かが決まりますが、実際にいくら受け取れるかは個人差が大きいのが実状です。

厚生年金であっても平均月額15万円ほど、国民年金のみの場合は約6万円弱というのが現代シニアのリアルな数字です。日々の生活費を考えると、決して余裕があるとは言い切れません。

こうしたなか、所得が一定基準を下回る方を対象に、老齢基礎年金に上乗せして支給されるのが「年金生活者支援給付金」です。平均支給額は月額4014円(令和5年度末実績)となっており、物価高が続く今の時代、貴重な生活の支えとなります。

本記事では、意外と知られていない「老齢年金生活者支援給付金」の受給要件や手続きについて、分かりやすく解説していきます。

1. 老後、「公的年金・恩給」のみで生活している高齢者世帯は43.4%

厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から、高齢者世帯(※)の収入の実態を見ていきましょう。

まず、高齢者世帯全体の平均的な所得構成を見ると、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めており、次いで仕事による収入である「稼働所得」が25.3%、「財産所得」が4.6%となっています。

しかし、これはあくまで全体の平均値です。

「公的年金・恩給を受給している世帯」に絞ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」である世帯が43.4%にものぼることがわかっています。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯:43.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が80~100%未満の世帯:16.4%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が60~80%未満の世帯:15.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が40~60%未満の世帯:12.9%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20~40%未満の世帯:8.2%
  • 公的年金・恩給の総所得に占める割合が20%未満の世帯:4.0%

このようにシニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めていますが、年金受給世帯に絞ると、その半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているという実態が浮き彫りとなっています。