2. 後期高齢シニア《75歳以上》無職の夫婦世帯「ひと月の生活費」いくらかかる?
総務省統計局『家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要』を基に、75歳以上の無職の二人以上世帯、いわゆる後期高齢シニア夫婦の平均的な家計収支を見ていきましょう。
- 世帯主の平均年齢:80.8歳
- 持ち家率:95.4%
2.1 後期高齢者夫婦(無職)の月間家計収支:収入と支出の内訳
実収入:25万2506円
- そのうち、公的年金などの社会保障給付:20万7623円
実支出:27万3398円
- 消費支出:24万2840円
- 食料:7万6039円
- 住居:1万7261円
- 光熱・水道:2万2973円
- 家具・家事用品:1万1301円
- 被服及び履物:5050円
- 保健医療:1万7280円
- 交通・通信:2万4520円
- 教育:390円
- 教養娯楽:2万1536円
- その他の消費支出:4万6490円
- 非消費支出:3万558円
- 直接税:1万1058円
- 勤労所得税:471円
- 個人住民税:2877円
- 他の税:7709円
- 社会保険料:1万9481円
- 公的年金保険料:1963円
- 健康保険料:1万244円
- 介護保険料:718円
毎月の家計収支の状況
- 実収入:25万2506円
- 実支出:27万3398円
- 家計収支:▲2万892円(赤字)
- 黒字率:▲9.4%
- 平均消費性向:109.4%
- エンゲル係数:31.3%
後期高齢シニア夫婦の家計は、平均して毎月約2万1000円の赤字という結果でした。これは、年金などの収入だけでは生活費をカバーできず、貯蓄などを取り崩しながら生活している状況を示しています。
※1 平均消費性向とは、可処分所得(いわゆる「手取り収入」)のうち、どれくらいの割合を消費に使ったかを示す指標です。
※2 エンゲル係数とは、消費支出全体に占める食費の割合のことです。
2.2 家計支出から見える特徴とは
特徴1:住居関連の費用が低い
持ち家率が95.4%と非常に高いため、家賃や住宅ローンの返済がほとんどなく、現役世代と比較して住居関連の費用が低い傾向にあります。
特徴2:特別な介護費用は含まれていない
この調査における支出は、あくまで一般的な日常生活にかかる費用です。そのため、高額になりがちな介護費用は含まれていません。もし介護が必要になった場合、赤字額はさらに大きくなり、貯蓄を取り崩すペースが速まる可能性がある点には注意が必要です。
2.3 「ゆとりのある老後」に必要な金額とのギャップ
生命保険文化センター『2025(令和7)年度 生活保障に関する調査(速報版)』によると、夫婦2人が老後を送るうえで最低限必要と考える日常生活費は平均で月額23万9000円、ゆとりのある生活を送るための費用は平均で月額39万1000円となっています。
後期高齢者夫婦の実収入(約25万円)は、最低日常生活費を何とか上回る水準ですが、ゆとりのある生活費との間には毎月約13万円もの大きな差があります。このギャップをどのように埋めるかが、老後の生活の質を左右する重要なポイントと言えるでしょう。
