2025年11月21日、高市早苗内閣によって、新たな経済対策が閣議決定されました。

昨年(2024年)度は物価高対策として「住民税非課税世帯」を対象に1世帯3万円の現金給付が行われましたが、今年は方針が変わっています。

現時点での主な支援策を見ておきましょう。

  • 子育て世帯への給付: 0歳から高校3年生までの子ども1人あたり2万円を給付
    • 所得制限はなく、子どもの人数に応じて支給
  • 電気・ガス代支援:冬季(1~3月使用分)のガス代支援

    • 3か月間で1世帯当たり7300円程度負担を軽減

重点支援地方交付金の拡充

  • 地方自治体が地域の実情に応じておこなう物価高対策の支援

2025年度は、現時点では住民税非課税世帯を対象とする一律現金給付給付は予定されていません。ただし、住民税非課税世帯を支援対象に含む、優遇措置は引き続き用意されています。

1. 住民税非課税世帯を対象とする《育児・教育・社会保険料》優遇措置5選

長引く物価高騰は、あらゆる世代にとって家計の「正念場」となっています。

これまでは「住民税非課税世帯」を対象とした臨時給付金が注目されてきましたが、実は現金給付以外にも、暮らしを支える強力なサポートがいくつも用意されています。

「住民税非課税世帯」とは、世帯全員の所得が一定基準を下回る世帯のことですが、この区分に該当することで受けられる育児・教育・社会保険料の主な優遇措置を5つピックアップしてご紹介します。

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置2/7

【一覧表】住民税非課税世帯への優遇措置

LIMO編集部作成

  • 国民健康保険料の減額:均等割・平等割が所得に応じて7割・5割・2割のいずれか減額されます。
  • 介護保険料の軽減:65歳以上の方が対象。自治体によりますが、保険料負担が低く抑えられます。
  • 国民年金保険料の免除:所得に応じて全額または一部免除、もしくは納付猶予が受けられます。
  • 保育料の無償化:通常は有償の0歳〜2歳児の保育料が無償化されます。
  • 高等教育の修学支援:大学・専門学校等の入学金・授業料の免除/減額に加え、給付型奨学金が受けられます。

このほか、自治体独自の支援策もあります。次では、住民税非課税世帯の定義を具体的に見ていきます。

2. そもそも「住民税非課税世帯」の基準とは?

住民税は、一律負担の「均等割」と所得に応じた「所得割」で構成されます。世帯全員のこの両方が免除される状態を「住民税非課税世帯」と呼びます。

2.1 住民税の基本

住民税は「均等割」と「所得割」の2層構造3/7

個人住民税のしくみ

出所:総務省「個人住民税」

2.2 「住民税が非課税」となる3つの要件とは?

以下のいずれかに該当した場合、住民税が非課税となります。

  1. 生活保護を受けている
  2. 障害者、未成年者、寡婦(夫)、ひとり親で、前年の所得が135万円以下である
  3. 前年の所得が各市区町村の基準を下回る

1と2の要件は全ての市区町村で共通ですが、3の所得要件は市区町村ごとに異なる基準があります。

※「住民税の所得割のみ非課税」となる区分もあります。各種支援の対象となるかどうかは自治体により異なるため、必ずお住まいの市区町村などの基準をご確認ください。

3. 住民税非課税世帯となる「給与収入・年金収入」はいくら?《大阪市の例》

住民税が非課税となる所得要件は自治体ごとに異なります。ここでは大阪市を例に見ていきましょう。

「住民税非課税世帯」となるボーダーライン(所得要件)(大阪市)

前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下となる人

(1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合
    35万円 × (本人 + 同一生計配偶者+扶養親族)の人数+ 21万円 + 10万円
(2)同一生計配偶者および扶養親族がいない場合
    35万円 + 10万円(給与所得者の場合、年収100万円以下の人が該当)

大阪市の住民税非課税限度額は、単身世帯であれば「前年の合計所得45万円以下」です。

同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合は「101万円以下」、2名の場合は「136万円以下」のように上がっていきます。

ただし「所得」は、収入から各種控除が差し引かれたあとの金額です。次は、この基準を「収入ベース」に換算した金額も見ていきましょう。

3.1 【ケース別】「住民税非課税世帯」となる収入目安

単身世帯の場合

前年度の所得合計:45万円以下

  • 給与収入が100万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下

同一生計の配偶者や扶養親族が1名の場合

前年度の所得合計:101万円以下

  • 給与収入が156万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が171万3334円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が211万円以下

同一生計の配偶者や扶養親族が2名の場合

前年度の所得合計:136万円以下

  • 給与収入:205万9999円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が218万1円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が246万円以下

非課税限度額は収入の種類や、世帯構成により変動します。また、年金収入のみの場合は、65歳未満より65歳以上のほうが、非課税となるラインがぐんと上がります。

現役時代よりも収入が下がるケースが一般的であること、遺族年金が非課税であること、さらに65歳以上は公的年金の最低控除枠が多くなっていることなどからも、シニアの年金世帯は「住民税非課税世帯」に当てはまりやすいと言えるでしょう。

このように、世帯構成や収入源によって、住民税の負担が変わってくるのです。

4. 【世代別】住民税の課税状況。シニア世帯ほど非課税世帯が多くなる?

厚生労働省の「令和6年国民生活基礎調査」の資料から、年齢層別に住民税が「課税される世帯」の割合を見てみましょう。

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合7/7

【一覧表】住民税課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和6年国民生活基礎調査」(第131表)をもとにLIMO編集部作成

  • 29歳以下:63.0%
  • 30〜39歳:87.5%
  • 40~49歳:88.2%
  • 50~59歳:87.3%
  • 60~69歳:79.8%
  • 70~79歳:61.3%
  • 80歳以上:52.4%
  • 65歳以上(再掲):61.1%
  • 75歳以上(再掲):54.4%

※  全世帯数には、非課税世帯及び課税の有無不詳の世帯を含む
総数には、年齢不詳の世帯を含む
住民税課税世帯には、住民税額不詳の世帯を含む

住民税が課税される世帯の割合は、30~50歳代では90%弱でしたが、60歳代で79.8%となります。その後65歳以上は61.1%、75歳以上は54.4%となっています。

年齢が高くなるにつれて、住民税が課税される世帯の割合は低くなっています。

一般的に年金生活に入ると現役時代よりも収入が減少し、それに加えて65歳以上の方には公的年金に対する所得控除が大きく、また遺族年金は課税対象とはなりません。

こうしたことからも、年金受給中のシニアは「住民税非課税世帯」に該当しやすい傾向があると言えるでしょう。

5. まとめ

2025年11月に決定した経済対策では、子ども1人あたり2万円の給付など、「世代による支援」の重点が明確にシフトしました。

現時点では、2024年度に決定した非課税世帯向けの一律給付は予定されていませんが、「住民税非課税世帯」は、老齢年金生活者支援給付金を始めとする各種支援の受給要件にも含まれる「ボーダーライン」と言える区分です。

現在、公的年金のみで生活をカバーできる高齢者世帯は43.4%にとどまっており、長引く物価高騰は世代を超えたすべての人にとっての正念場といえます。

だからこそ、自身の世帯が受けられる優遇措置や減免制度など、各世帯の状況に応じた公的支援を正確に把握し、もれなく活用することが大切です。

お住まいの地域の広報誌や公式サイトをこまめにチェックし、受け取れる支援はフル活用していきましょう。

参考資料