あなたのお金、どこに「積み立てる」べきか?

お金はシンプルに増やしなさい

 ここ数年、注目度が増している投資法があります。それが「積み立て投資」です。毎月3000円からの積み立て本がベストセラーになるなど、多くの人の関心が集まっています。背景には、国が「iDeCo(イデコ)」や「つみたてNISA(ニーサ)」といった投資の税金が安くなる制度をつくり、積み立て投資をバックアップしていることもあるでしょう。少子高齢化で年金財政が悪化する中、老後のお金はこれらの制度を使って、自分でつくらなければならない時代に変わりつつあります。

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 では、この制度を利用して、どんな商品に積み立て投資をすればいいのか? 何に投資すれば、お金に困らない老後を迎えられるのか? 『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』の著者で、ファイナンシャルアドバイザーの中桐啓貴氏に、同書をもとに解説してもらいました。

節税額だけで240万円になる

 iDeCoとNISAを説明する前に、日本の年金制度をおさらいすると、その構造はよく「家の階数」にたとえられます。まず、全国民が国民年金に加入をしています。これが「1階」の部分です。次に厚生年金があり、公務員・会社員は全員入っており、これが「2階」部分になります。そしてiDeCoというのは、個人型確定拠出年金のことで「3階」部分にあたります。1階と2階だけでは心もとないので、3階を自分で作ろうというわけです。

 iDeCoは、あらかじめ用意された金融商品を自ら運用し、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。この制度のいいところは3つあります。

 まず、入口で掛け金が全額所得控除になります。そして運用期間中の運用益に対して通常20%取られる税金が非課税になり、さらに出口についても60歳以降に受け取る際に退職所得控除などが使えます。iDeCoを使って毎月いくら積み立てできるかは、職業などによってそれぞれ違いがあるので、説明をしておきます。

1.自営業者→最大月額6万8000円
2.企業年金制度のない会社員→最大月額2万3000円
3.専業主婦→最大月額2万3000円
4.企業年金に加入している会社員→最大月額1万3000円
5.企業型確定拠出年金に加入している会社員→最大月額2万円
6.公務員→最大月額1万2000円

 仮に30歳、年収400万円の企業年金制度のない会社員が、毎月2万3000円の掛け金を60歳まで30年間払ったとします。すると税金が毎年約8万円減るので、節税額だけで30年間で240万円になります。

さらに、この月2万3000円が年利5%で30年間回ったとすると、60歳時点で約2000万円になります。そのうちの約1000万円が運用益ですので、通常なら1000万の20%=200万円が税金で持っていかれるのですが、iDeCoだと非課税です。つまり、入り口と運用期間の非課税だけで240万+200万=440万の節税ができるというわけです。

「人生には確実なものが2つある。それは死と税金だ」という言葉があるぐらいですが、iDeCoを使うと税金がかなり安くなります。これを使わない理由はありません。

 また60歳になるまで引き出すことができないのも、この制度のいいところです。途中で家を買いたくても、学費にお金がかかっても、このiDeCoの資産は引き出すことができません。だから、長期投資に向いているのです。

30年後、資産は6800万円に!

 次にNISAについて説明しましょう。NISAは、「少額投資非課税制度」と呼ばれます。その名の通りで、投資の値上がり利益分が非課税になる制度ですが、2つのタイプがあります。

 1つは「一般NISA」と呼ばれ、年間120万円×5年間で600万円まで投資をすることができます。もう1つが「つみたてNISA」で、これは毎年40万円×20年間で800万円まで投資できます。

 積み立て投資には、つみたてNISAを使いましょう。つみたてNISAは、投資できる投信信託が決められていて、それらは販売手数料がかからず、信託報酬も比較的安いものしかラインナップされていません。その中から商品を選び、年間40万円×20年にわたり、積み立てていきます。

 あくまでシミュレーションですが、この2つの制度を利用して毎月5万6000円(iDeCo2万3000円、つみたてNISA3万3000円)を運用し、30年間回したとします。仮に、株式投資の平均リターンが7%得られれば、30年後にいくらになっているかというと、6800万円になります。

 ちなみに、元手はトータルで約2200万円です。さらに30年を5年伸ばして35年間にするとちょうど1億円になります(つみたてNISAは現状は20年間しか継続できません)。

筆者の中桐氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

厳選した6本の投資先とは?

 では、iDeCoとつみたてNISAの2つを使って、何に投資するのか。ここでは、インデックスファンドとアクティブファンドの計6本を紹介します。

このうち、つみたてNISA口座で購入できるのはインデックスカテゴリの3本になります。iDeCoで利用できるかは、iDeCoの口座を持っている金融機関によって違いますので、金融機関で確認をしてください。

インデックスファンド(市場平均に連動するように設計されたファンド)

・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
・eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド

アクティブファンド(運用者が投資対象を選び、市場平均を超える成果をめざすファンド)

・キャピタル世界株式ファンド
・スパークス・ジャパン・スモール・キャップ・ファンド(愛称:ライジング・サン)
・グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健太)

 インデックスファンドは、業界でも最低水準の信託報酬のインデックスファンドを3本選びました。全世界株式タイプのものは、時価総額ベースで世界の株式の約90%をカバーしますので、これ1本で世界経済の成長に投資ができます。

 アクティブファンドの3本は、コスト面でいうと2%台のものもあり、高く感じると思います。しかし、その高いコストに見合ったパフォーマンスを出しているものを選びました。インデックスファンドが中心でよいのですが、少し慣れてきたところで、運用成績のよいアクティブファンドもラインアップに組み込みたいというのであれば、参考にしてください。

 

■ 中桐啓貴(なかぎり・ひろき)
 兵庫県出身。1997年「最後の新入社員」として入社した山一證券の倒産を経て、メリルリンチ日本証券で富裕層向け資産運用コンサルタンティングに従事。その後、米国でMBAを取得中、人々を幸せにしている現地のファイナンシャルアドバイザーの姿に衝撃を受け、日本でも同様のサービスを根付かせようと決意。2006年に「銀行でも証券会社でもない資産運用のパートナー」として設立したGAIAでは、これまで1万件を超える資産運用アドバイスを行う。主著に『損しない投資信託』(朝日新書)などがあり、著書累計部数は10万部を超える。

中桐氏の著書:
日本一カンタンな「投資」と「お金」の本

中桐 啓貴

参考記事

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兵庫県出身。1997年「最後の新入社員」として入社した山一證券の倒産を経て、メリルリンチ日本証券で富裕層向け資産運用コンサルタンティングに従事。その後、米国でMBAを取得中、人々を幸せにしている現地のファイナンシャルアドバイザーの姿に衝撃を受け、日本でも同様のサービスを根付かせようと決意。
2006年に「銀行でも証券会社でもない資産運用のパートナー」として設立したGAIAでは、これまで1万件を超える資産運用アドバイスを行う。
主著に『損しない投資信託』(朝日新書)などがあり、累計部数は10万部を超える。