2. 【60歳代の貯蓄額】《単身・2人以上世帯》でそれぞれ平均貯蓄額はいくら?
つづいてJ-FLEC(金融経済教育推進機構)が2025年12月18日に発表した「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」の2人以上世帯の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)から、60歳代《単身世帯》《2人以上世帯》の資産保有状況を見てみましょう。
※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。
2.1 60歳代《単身世帯》資産状況は「二極化が鮮明」
単身世帯の60歳代における平均値は1364万円ですが、より実態に近い中央値は300万円と、平均と中央値の間に大きな乖離が見られます。特筆すべきは「金融資産非保有(貯蓄ゼロ)」の割合が30.4%に達しており、3世帯に1世帯は資産がない状態で老後を迎えているという厳しい現実があります。
一方で、アッパーマス層の入り口となる「3000万円以上」を保有する世帯は15.6%存在し、単身世帯内での二極化が加速しています。
2.2 60歳代《2人以上世帯》アッパーマス層への「到達率が上昇」
2人以上世帯・金融資産保有額

出所:J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査(2025年)」をもとにLIMO編集部作成
2人以上世帯になると資産規模は大きく跳ね上がり、平均値は2683万円、中央値は1400万円と、単身世帯に比べて格段に高い水準にあります。資産3000万円以上を保有するアッパーマス層(およびそれ以上の層)の割合は27.2%に達しており、約4世帯に1世帯が富裕層への足掛かりを築いていることが分かります。
貯蓄ゼロ世帯の割合も12.8%に留まっており、単身世帯に比べると生活基盤が安定している世帯が多い傾向にあります。現役時代からの共働きや退職金の積み増しによって、60歳代でアッパーマス層へ食い込めるかどうかが、その後の富裕層入りの大きな分岐点となっています。
