1.2 【比較】投資信託・ETF・個別株の比較と使い分け
投資信託・ETF・個別株は、価格変動のタイミング、購入方法、銘柄構成において明確な違いがあります。
まず「価格変動」は、投資信託が1日1回公表される基準価額で取引されるのに対し、ETFや個別株は株式市場で刻々と変動する市場価格で購入されるという違いです。
また、「購入方法」の違いとは、投資信託は100円から金額を指定して購入・積立が可能ですが、原則として株数(口数)を指定して購入するということです。
「銘柄構成」については、投資信託とETFは複数の銘柄を束ねたパッケージ商品である一方、個別株はその名の通り、単一の企業で構成されている点で、大きな違いがあります。
1.3 【解説】個別株投資における「経営参加」と「議決権」とは?
個別株を保有していると、株主総会で会社の重要な方針(役員の選任や配当の決定など)に賛成や反対の意見を表明できる議決権を行使できます。これは個別株投資の醍醐味の一つだと言えるでしょう。
一方、投資信託やETFを持っていても、投資家自身が議決権を直接行使することはできません。投資信託の場合は、投資家に代わって運用会社が議決権を行使する形になります。
1.4 「単元未満株制度」って?自分に適した投資方法を見つけよう
それでは、それぞれの違いを踏まえて、どのように自分に適した投資方法を見極めればいいのでしょうか。篠田さんは「リアルタイムな相場の動きを味方につけたい場合はETFや個別株が、少額で定期的に積立をしたい場合は投資信託が適している」と説明します。
また、原則として、日本の個別株は100株単位(1単元)が最低取引単位となりますが、現在では一部の証券会社で「単元未満株制度」が提供されており、1株などの少額からETFや個別株を購入することも可能になっています。
2. 【投資信託・ETF・個別株】投資にかかるコストの構造
投資コストには大きく分けて、「売買時(取引の都度)」にかかるものと、「保有期間中」にかかるものがあります。特に投資信託とETF、個別株とでは、コストの発生タイミングと構造が大きく異なります。
2.1 売買時のコスト(スプレッド)
ETFや個別株を市場で売買するときに、買い手と売り手の間で生じる価格差のことを「スプレッド」と言います。
流動性が低い(取引する人が少ない)銘柄では、この価格差が広がり、実質的な取引コストが大きくなる可能性があります。
なお、投資信託については、基準価額で売買するため、基本的にスプレッドは発生しません。
2.2 保有期間中のコスト(信託報酬)
信託報酬の構造は、投資信託とETFとで異なります。
投資信託の場合、信託報酬を「販売会社」「運用会社」「受託会社」の3社で分け合うため、ETFと比べると信託報酬が相対的に高めに設定される傾向があります。
一方、ETFは、販売会社への報酬が含まれないため、運用会社と受託会社の分のみで構成されており、投資信託よりも信託報酬が低めに設定されています。
なお、個別株には信託報酬のような保有期間に応じて発生するコストはありません。


