1つめは、名前のトレンドには、社会の欠乏感が反映されやすいという点。
勝てない戦争をしていた時代には「勝利」「勇」といった名前、戦後の食糧難の時代には「茂」「実」といった豊作を連想させる名前、高度経済成長期によって家族が空洞化し始めた80年代には「愛」という名前が流行したといいます。
その上で、現代のキラキラネームの流行は、リスクを避けるために先回りされ、選択肢を与えられる社会になったことで、日本人に「自分が何者で、何をしたいのか実感できない」という空虚な感覚が生まれていることのあらわれでは……と著者は警鐘を鳴らしています。
もう1点は、名づけには親が無意識に抱えている「無力感」「欠乏感」「孤独感」が表れる「こともある」という点。
奇しくも、昨年から今年にかけて、東京都目黒区や千葉県野田市で、親からの虐待で命を落とした少女の名前には、いずれも「愛」が含まれていました。
先日発表された理化学研究の調査結果によれば、子供を虐待したとして有罪判決を受けた親ら25人のうち、72%に当たる18人が自身の子供時代に虐待を受けていたといいます。