2.2 高額療養費・高額介護サービス費の自己負担限度額の引き下げ

住民税非課税世帯は、高額療養費制度も利用しやすくなっています。高額療養費制度とは、収入・所得ごとに区分される「1ヵ月の医療費の自己負担限度額」を超えて医療費の支払いをした場合、超えた分が全額払い戻される制度です。住民税非課税世帯は、この自己負担限度額が低く設定されており、高額な治療を受けても払い戻しを受けやすいのです。

自己負担限度額は、69歳以下と70歳以上で異なります。それぞれの負担額は、以下のとおりです。

70歳以上の高額療養費制度について

70歳以上の高額療養費制度について

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をもとに筆者作成

70歳以上〜

  • 年収約1160万円〜:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
  • 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
  • 年収156万円~約370万円:5万7600円
    ※外来は1万8000円、年間14万4000円
  • 住民税非課税世帯:2万4600円
    ※外来は8000円
  • 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など):1万5000円
    ※外来は8000円

69歳以下の高額療養費制度について

69歳以下の高額療養費制度について

出所:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」をもとに筆者作成

69歳以下

  • 年収約1160万円〜:25万2600円+(医療費-84万2000円)×1%
  • 年収約770万円~約1160万円:16万7400円+(医療費-55万8000円)×1%
  • 年収約370万円~約770万円:8万100円+(医療費-26万7000円)×1%
  • 年収~約370万円:5万7600円
  • 住民税非課税世帯:3万5400円

住民税非課税世帯は69歳以下が3万5400円、70歳以上は1万5000円〜2万4600円と、課税世帯に比べると2〜3万円ほど引き下げられています。高齢になると通院・受診の機会が増え医療費がかさむ傾向にありますが、負担限度を超えた分は全額払い戻されるため、安心して医療を受けられます。

なお、同じように高額介護サービス費も、負担上限が引き下げられています。

高額介護サービス費について

高額介護サービス費について

出所:厚生労働省「サービスにかかる利用料」

第1段階

  • 生活保護を受給している人等
    1万5000円(個人)
  • 1万5000円への減額により生活保護の被保護者とならない場合
    1万5000円(世帯)
  • 市町村民税世帯非課税の老齢福祉年金受給者
    2万4600円(世帯)
    1万5000円(個人)

第2段階

  • 市町村民税世帯非課税で公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下
    2万4600円(世帯)
    1万5000円(個人)

第3段階

  • 市町村民税世帯非課税で第1段階および第2段階に該当しない方
    2万4600円(世帯)

第4段階

  • 市区町村民税課税世帯~課税所得380万円(年収約770万円)未満
    4万4400円(世帯)
  • 課税所得380万円(年収約770万円)~690万円(年収約1160万円)未満
    9万3000円(世帯)
  • 課税所得690万円(年収約1160万円)以上
    14万100円(世帯)

非課税世帯は実質負担が1〜2万円台で介護サービスを利用できる形です。超えた分は、高額療養費のように払い戻されます。医療に加え、介護も安心して受けられるのです。