5. まとめにかえて~老後資金の使い始めは「平均66.8歳」~
「人生100年時代」を迎え、老後の安心を左右する「資産寿命」への関心が高まっています。
生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によれば、私的な老後資金を使い始める平均年齢は66.8歳でした。年金受給開始直後は、まず年金の範囲内で生活をやりくりし、手元の資金を温存しようとする傾向がうかがえます。
健康寿命とともに資産寿命をいかに延ばすかが、豊かな老後に繋がるカギと言えそうです。現役時代からの計画的な備えが、70歳以降の「ゆとり」へと繋がっていくでしょう。
6. 【コラム】70歳代の約3割が「年金だけでは日常生活費も支払えない」と回答
J-FLEC(金融経済教育推進機構)の「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、二人以上世帯のうち60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が、「年金だけでは日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答しています。
また年金ではゆとりがないと考える世帯が「不安を感じる理由」は「物価上昇で支出が増えると見込んでいるから」がトップに。60歳代で63.3%、70歳代で62.8%にのぼります。
次いで「医療費の個人負担が増えるとみているから」は60歳代で28.3%、70歳代で34.8%、「介護費の個人負担が増えるとみているから」は60歳代で18.1%、70歳代で26.4%。
止まらぬ物価上昇に家計が圧迫される中、健康や介護面での不安を抱えながら、切実な思いで過ごすシニア世帯の存在があります。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告 貯蓄・負債編 2024年(令和6年)平均結果の概要(二人以上の世帯)」
- 内閣府「令和6年版高齢社会白書(全体版)」
- 総務省統計局「家計調査 貯蓄・負債編 第8-10表<貯蓄・負債>貯蓄及び負債の1世帯当たり現在高 (高齢者のいる世帯)世帯主の就業状態別」
- 総務省統計局「用語の解説」
- 生命保険文化センター 2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
マネー編集部貯蓄班

