4. 【無職世帯 vs 有職世帯】70歳以上の「資産の内訳」に違いはあるのか?

長期にわたる低金利環境や、近年の物価上昇を背景に、「資産をどこに置くか」を意識する世帯も増えているのではないでしょうか。

ここからは、70歳以上世帯における「貯蓄の内訳」を、世帯の就労状況別に確認していきます。

4.1 【有職世帯】70歳以上・二人以上世帯の「資産の内訳」

  • 金融機関:2351万円
    • 通貨性預貯金:861万円
    • 定期性預貯金:729万円
    • 生命保険など:342万円
    • 有価証券:418万円
      • 貸付信託・金銭信託:8万円
      • 株式:272万円
      • 債券:24万円
      • 投資信託:114万円
  • 金融機関外:10万円

4.2 【無職世帯】70歳以上・二人以上世帯の「資産の内訳」

  • 金融機関:2453万円
    • 通貨性預貯金:762万円
    • 定期性預貯金:842万円
    • 生命保険など:378万円
    • 有価証券:472万円
      • 貸付信託・金銭信託:7万円
      • 株式:248万円
      • 債券:57万円
      • 投資信託:160万円
  • 金融機関外:5万円

70歳以上の二人以上世帯における金融機関での貯蓄額を見ると、無職世帯は2453万円と、有職世帯の2351万円を上回っています。

長年の貯蓄や定年退職金の影響が反映されている可能性も考えられるでしょう。いずれの世帯でも、「通貨性預貯金」と「定期性預貯金」が貯蓄全体のおよそ65%を占めています。

内訳をみると、有職世帯では通貨性預貯金が861万円と最も多く、無職世帯では定期性預貯金が842万円と中心となっており、それぞれ流動性や安定性を重視している姿がうかがえます。

リスク性資産にあたる「有価証券」は、無職世帯が472万円と、有職世帯の418万円をやや上回っています。

その内訳では、無職世帯の投資信託が160万円(有職世帯は114万円)と46万円多く、債券も57万円(有職世帯は24万円)と33万円多い結果となりました。

リタイア後も資産運用を継続している様子や、これまでの投資経験が反映されていると考えられます。

一方、有職世帯は株式の保有額が272万円と、無職世帯の248万円より24万円多く、現役で働きながら積極的に運用を行う世帯が一定数存在していることがうかがえます。

また、「生命保険など」は無職世帯が378万円と、有職世帯の342万円を上回っており、将来への備えに対する意識の高さも感じられます。

このように、70歳以上の二人以上世帯では、就労状況によってリスクの取り方や資産運用の目的に違いが見られると言えるでしょう。