5. 厚生年金・国民年金「現役時代の働き方&収入」で、老後の年金額はこんなに差がつく!
ここまで見てきた通り、厚生年金は、現役時代の収入と加入期間がそのまま受給額に反映されるため、個々人の働き方が老後の生活設計に直結します。
そもそも、公的年金制度自体が「国民年金」と「厚生年金」の二階建て構造であり、現役時代の働き方によって老後受け取る年金水準に決定的な差が生まれます。
ここからは、厚生労働省が公表した。現役時代の働き方や収入によって、老後の年金額がどれだけ変わるのか、多様なライフコースに応じたリアルな年金モデルを見ていきましょう!
多様なライフコースに応じた年金額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
5.1 パターン①:男性・厚生年金期間中心
年金月額:17万3457円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50万9000円※賞与含む月額換算。以下同じ。
- 基礎年金:6万8671円
- 厚生年金:10万4786円
5.2 パターン②:男性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万2344円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36万4000円
- 基礎年金:4万8008円
- 厚生年金:1万4335円
5.3 パターン③:女性・厚生年金期間中心
年金月額:13万2117円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35万6000円
- 基礎年金:7万566円
- 厚生年金:6万1551円
5.4 パターン④:女性・国民年金(第1号被保険者)期間中心
年金月額:6万636円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25万1000円
- 基礎年金:5万2151円
- 厚生年金:8485円
5.5 パターン⑤:女性・国民年金(第3号被保険者)期間中心
年金月額:7万6810円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26万3000円
- 基礎年金:6万7754円
- 厚生年金:9056円
この年金額例では、厚生年金加入期間が長く、収入が高いほど年金額が増加していることがわかります。
将来受け取る年金水準を大きく左右するのは、「国民年金と厚生年金のどちらが中心だったか」という点だということも見て取れます。
6. まとめにかえて
厚生年金の平均年金月額は、全国平均で14万6429円でしたが、男女間、そして都道府県間で大きな格差があることがわかりました。
平均年金月額が最も高かった神奈川県と、最も低かった青森県では、月額で4万円以上もの差があり、これは現役時代の報酬や年金加入期間が年金額に直結する厚生年金制度の仕組みによるものです。
また、厚生年金の上乗せがない国民年金(老齢基礎年金)だけでは、平均月額が5万円台後半となり、この金額だけで老後の生活費をカバーすることは厳しい現実と言えるでしょう。
物価高や社会保険料負担の増加など、家計を取り巻く環境は依然として厳しさを増しており、公的年金だけでは不足する「老後資金」を自助努力で準備していく必要性が高まっています。
来年以降も新NISAなど税制優遇のある制度を活用した資産形成は老後への備えとして有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
将来の生活を盤石なものにするためにも、本記事で確認した年金の現状を踏まえ、早いうちからご自身の働き方やマネープランを見直すきっかけとしてください。
参考資料
- 厚生労働省「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構 年金用語集「は行 報酬比例部分」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
マネー編集部年金班