この記事の読みどころ

2015年は小売株の年でした。外部環境、利益成長、テーマが揃いました。

2016年は小売株にとって難しい年になるでしょう。個別株の選別が一層大事になりそうです。

リアルとECを融合する合従連衡に注目します。

2015年の小売株のパフォーマンスは良好

2015年は小売株にとって大変パフォーマンスの良い年でした。2014年末から2015年12月18日までの小売株指数(TOPIX-17小売)のパフォーマンスは+28%でTOPIXの+9%を大きく上回り、医薬品指数の+33%に次いで17業種で第2位の好パフォーマンスになりました。

時価総額の大きい20銘柄で、この期間にTOPIXを下回るパフォーマンスだったのは、ファーストリテイリング(9983)、ドンキホーテホールディングス(7532)、三越伊勢丹ホールディングス(3099)の3銘柄にとどまり、残りのほとんどの銘柄がTOPIXを上まわりました。

この背景には所得・消費環境の改善、インバウンドなどの中国の景気の恩恵、(GMSをめぐる)経営改革の推進があると思います。

2016年を占う

前年の好調さをセクター全体で持続するのが難しいのが株式市場です。特に指摘したいのが、2015年夏場以降、小売株はセクター全体としてTOPIXを下回るパフォーマンスになったことです。

この時期は中国を震源地とする世界的な景気警戒感が高まった時期でした。本来こうした環境では小売株は良好な展開になるのですが、今回はそうなりませんでした。それまでに株価が成長期待をかなり織り込んでしまっていたのか、あるいは今後の消費や小売企業の販売に警戒感があったからと推察できます。

筆者は、消費者がかなり購買に慎重になっていると見ています。所得環境が相当改善しない限り、消費者の財布のひもは固く、小売企業間の差が開いていくと見ておきたいと思います。

注目テーマを考える

こうした環境ですと、小売企業の株価におけるプレミアムは低下し、一方、時間が経つにつれ消費者の支持を集める企業とそうでない企業に差が広がります。各サブセクターのトップ銘柄を丹念に株価が下落した際に安く仕込むスタンスがよいと思います。

筆者が注目しているのは、ポイントを軸にしたさまざまな企業の提携です。EC企業とリアルの企業との連携もますます進むことでしょう。

成長著しいEC市場のメインプレーヤーであるアマゾンと楽天(4755)を追いかけて、Pontaを核に連携を進めると思われるローソン(2651)、Tポイントを核にするヤフー(4689)、ファミリーマート(8028)の動きに注目したいと思います。

LIMO編集部