一方、前述したコーヒーチェーン店は今も拡大が続いています。1997年末にわずか18店舗だったスタバは現在1,415店舗、ドトールは1988年の約200店舗が現在は約1,327店舗(注:ドトール以外のブランド含む、海外含まず)へと増加しています。タリーズや上島珈琲なども成長が続いている模様です。

ということは、単純に考えると、漸減が続く喫茶店の多くは、昔ながらのいわゆる“純喫茶”タイプということが容易に推測できます。確かに、そういう喫茶店を見る機会が少なくなりました。しかし、若年世代にとっては、チェーン店を始めとする今の喫茶スタイルが当たり前なのかもしれません。

コンビニなど他業種の商品力向上も見逃せない要素

昔ながらの純喫茶店が苦境に追い込まれた大きな理由の1つは、こうした手頃な価格で急成長してきたチェーン店との競争でしょう。しかし、こうしたチェーン店だけでなく、コンビニやファストフード店によるコーヒーの商品力向上も見逃せません。特に、コンビニはイートインコーナーを増設しており、今後も喫茶店の強力なライバルになると考えられます。

静かな音楽が流れる中で、備え付けの新聞や雑誌を読んで自分自身の時間を満喫できる、昔ながらの喫茶店に未来はないのでしょうか。

国内のコーヒー市場は成長が続く

一方、やや意外かもしれませんが、日本国内のコーヒー消費量は拡大し続けており、2013~2016年は4年連続で過去最高を更新しました。2017年はやや減少したものの、2018年実績(約47万トン)は再び増加に転じており、過去最高だった2016年実績(約47万2千トン)に迫る消費量でした。

ちなみに、2017年の消費量46万4千トン(生豆換算)は、緑茶の6倍弱、紅茶の約30倍に上っています。特に、近年では緑茶の衰退が著しく、統計を見る限り、緑茶需要がコーヒーにシフトしていると推察できます。

昔ながらの喫茶店の新たな取り組みに期待

もちろん、家や職場でコーヒーを飲む需要が高まったこともあります。それを含めて、人口減少が始まったにもかかわらず、今も日本のコーヒー市場は成長市場なのです。昔ながらのレトロな喫茶店も、今後復活できるチャンスがないと簡単には言い切れないでしょう。客数回復に向けた喫茶店の新たな取り組みに期待しながら、「喫茶店の日」にはぜひ、外でコーヒーを嗜みたいものです。

LIMO編集部