今年も残すところあとわずかとなり、年末に向けて老後の家計や資産の状況を改めて見直している方もいるかもしれません。

物価高が続き、年金だけでは生活費を賄うのが難しいと感じる方も少なくない中で、公的年金を補完する制度の重要性が増しています。その一つが、所得が一定以下の年金受給者に支給される「年金生活者支援給付金」です。

この給付金は、老齢、障害、遺族の3種類があり、老後の生活を支える大切なセーフティーネットですが、公的年金と同様に「申請主義」に基づいています。つまり、要件を満たしても、自ら請求手続きをしないと受け取ることができません。

本記事では、この年金生活者支援給付金に焦点を当て、老齢、障害、遺族それぞれの支給要件と、2025年度の給付基準額、そして確実にもらうための請求手続きの方法を詳しく解説します。

ご自身の年金受給額の平均と比較しながら、老後資金計画の一助としてお役立てください。

1. ふつうの年金にプラスで「年金生活者支援給付金」が振り込まれるのはどんなケース?

基礎年金を受給中の人で、所得が一定要件を満たす場合、「年金生活者支援給付金」を受け取ることができます。

「年金生活者支援給付金」は、「老齢年金生活者支援給付金」「障害年金生活者支援給付金」「遺族年金生活者支援給付金」の3種類です。

1.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件《振り込まれるのはどんなケース?》

老齢年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は80万6700円以下(※2)である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

1.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件《振り込まれるのはどんなケース?》

障害年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。

  • 障害基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 障害年金等の非課税収入は除く

1.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件《振り込まれるのはどんなケース?》

遺族年金生活者支援給付金は、下記の支給要件をすべて満たす方が支給対象となります。

  • 遺族基礎年金の受給者
  • 前年の所得(※)が479万4000円以下(扶養親族等の数に応じて増額)

※ 遺族年金等の非課税収入は除く

「年金生活者支援給付金」の支給要件には、いずれの場合も前年の所得額が関わっています。