「老後資金2000万円問題」以降、公的年金への関心は高まっていますが、長寿化が進む現代において、年金だけで老後生活を賄うのは困難です。

内閣府の高齢社会白書からも、65歳を過ぎて「公的年金」と「就労による収入」を二本柱とするシニアが増加していることが分かります。

しかし、シニア層の就労環境は厳しく、賃金が下がるケースも少なくありません。だからこそ、国や自治体の公的な支援制度を賢く活用することが、老後の安定に直結します。

特に重要なのは、年金や各種支援の多くが「申請主義」であり、知っている人だけが得をする「申請しないともらえないお金」である点です。

この記事では、働き続けるシニアをサポートする雇用保険関連の給付金・手当と、老齢年金に上乗せされる二つの重要な制度の具体的な要件を解説し、皆さんのセカンドライフ設計をサポートします。

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1. 長寿化が進むいま「年金+仕事」が、シニアの暮らしの両輪に

内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65~69歳の男性の6割以上、女性の4割以上が就労中です。70歳代前半でも、男性の4割弱、女性の2割以上が仕事を続けています。

年齢を重ねるにつれて働く人の割合は少しずつ減少するものの、シニア全体で見ると就業率は徐々に高まっています。

一方で、60歳以降は給料が下がるケースが多く見られます。また、現役時代のように希望通りの仕事に就けなかったり、健康上の理由で働き続けることが難しくなったりすることもあるでしょう。

厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は、男性81.09年、女性87.13年。老齢年金世代である65歳以上のシニアにとって、「公的年金」と並んで「就労」は、長くなる老後の暮らしを支える重要な柱となっています。

次の章以降では、シニアを対象とする給付金や手当などのうち申請しないと受け取れない、「雇用保険関連のお金」と「公的年金に上乗せされるお金」について、整理してお伝えしていきます。