12月は年間で最もIPO(新規上場)が多い月

今年も残すところ僅かになってきましたが、例年、師走の12月はIPO(新規上場)が多い月です。今年2015年は18社がIPOを行う予定ですが、昨年2014年は28社もありました。

ベストパフォーマーとワーストパフォーマーは?

そこで、昨年12月にIPOを行った銘柄の年間パフォーマンス(2014年12月30日終値~2015年12月16日終値)をチェックしてみました。結果は図表1の通りです。ポイントをまとめると以下のようになります。

  • 28社の単純平均の騰落率は+16%
  • 28社中、TOPIX(+9%)をアウトパフォームしたのは10社
  • ベストパフォーマーは、整骨院をFC展開するアトラ(6029)で、+382%
  • ワーストパフォーマーは、不動産投資業のビーロット(3452)で、▲75%
  • 直近の時価総額が200億円以上の銘柄でのベストパフォーマーは、登山などのアウトドア用品を製造・販売するスノーピーク(7816)、ワーストパフォーマーは、「上場ゴール」で一躍有名になったゲーム関連のgumi(3903)。

いかにもIPO銘柄らしい、玉石混交のパフォーマンスでした。

図表1
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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

大半が、時価総額が小さいマイクロキャップ

図表2に示したように、今回チェックした28社の大半が、時価総額が100億円を下回るマイクロキャップ銘柄です。

しかし、小さいからといって侮ることはできません。上場資金を活用し、魅力的な事業が構築されていけば、一休(2456)のように、将来、大手企業により買収される可能性もあります。つまり、こうした銘柄を探し出すことが、新興市場でのIPOの醍醐味の1つといえるでしょう。

図表2
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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

時価総額上位ではテクノプロ・ホールディングスやメタウォーターが注目できる

技術者派遣のテクノプロ・ホールディングス(6028)は、同業のメイテック(9744)に対しても大きくアウトパフォームしました。同社の前身は、不祥事を起こし上場廃止となったグッドウィル・グループであったため、上場直後は慎重な見方が多かったように記憶しています。

現在の同社は、旧体制からは人的にも法的にも完全に遮断されており、コンプライアンス体制も大幅に強化されています。労働者派遣法が改正されたことで、中小零細の派遣業者の淘汰が進み、同社のシェア拡大が期待できるため、中長期的に注目したい1社です。

メタウォーター(9551)は、富士電機(6504)と日本ガイシ(5333)の水処理事業部門が経営統合して設立された水インフラ関連企業です。売上高の大半が国内の官公需向けであり、中国など新興市場の景気減速を受けにくいことが、好パフォーマンスの一因と推定されます。

2016年も海外動向には不透明感が残ることや、東京五輪に向けて老朽化された設備の更新需要が見込めるため、ディフェンシブ性が高い同社は、引き続き注目される可能性がありそうです。

LIMO編集部