3. 年金以外で準備、50歳代で「5000万円以上貯めている人」どのくらいいる?

このように平均を大きく超える高額年金を受け取る人はごくわずかであるため、自助努力による老後資金の準備が不可欠です。実際に、現役世代やシニア世代がどれほどの老後資金を準備しているのか、家計診断・相談サービス「オカネコ」が全国のユーザー434人を対象に2025年6月に「老後資金に関する調査」を実施しています。

調査のひとつ「現在、老後資金として貯めている額はいくらです/でしたか?」の結果を見てみましょう。

「現在、老後資金として貯めている額はいくらです/でしたか?」

「現在、老後資金として貯めている額はいくらです/でしたか?」

出所:株式会社400F家計診断・相談サービス「オカネコ」調べ「オカネコ 老後資金に関する調査」

老後資金の準備状況を見ると、50歳代では「5000万円以上」が16.9%、60歳代以上では25.4%に達するなど、まとまった資産を保有する層が一定数存在します。一方で、老後が近づく年代にもかかわらず、「100万円未満」と回答した人は50歳代で25.0%、60歳代以上で16.0%おり、十分な備えができていない層も少なくありません。

「100万円未満」と「500万円未満」を合計すると、50歳代で34.6%、60歳代以上で32.0%に及び、およそ3人に1人が老後資金として心許ない水準にとどまっています。こうした高額層と十分でない層の存在から、老後資金の準備状況には二極化傾向があることがうかがえ、公的年金だけではなく自助努力による備えの重要性が一層高まっていることがわかります。

4. まとめにかえて

今回は、年金支給日を控え、現役・シニア世代が受け取る厚生年金の平均額や、高額受給者の実態を解説しました。

厚生年金の平均月額は14万6429円で、上位1.7%は月25万円以上を受給しています。この差から、公的年金だけでは老後生活に差が出ることがわかります。さらに、老後資金の準備状況には二極化が見られ、十分な貯蓄がない層も一定数存在します。

だからこそ、年金だけに頼らず、自助努力による資産形成が重要です。iDeCoやNISA、稼働所得など、自分に合った方法で少しずつ備えることが、安定した老後の生活につながります。まずは自分の年金見込みを確認し、未来の生活設計を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美