「相場が悪いとき」ほど効果を発揮する意外な投資法

お金はシンプルに増やしなさい

 今から5年ほど前のアベノミクス相場を覚えていますか? 低迷していた株価が急上昇し、巷には株長者が溢れました。週刊誌やマネー雑誌も「乗り遅れるな!」と煽り、株式相場は大いに盛り上がりました。しかしその後、株価はパッとせず、投資をやめてしまった人も多いと聞きます。

「それはもったいないことです。こういうときこそ『積み立て投資』を始めたほうがいい」と話すのは、『日本一カンタンな「投資」と「お金」の本』の著者で、ファイナンシャルアドバイザーの中桐啓貴氏です。なぜ今、積み立て投資なのか、同書をもとに中桐氏に解説してもらいました。

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こんなときに投資をして大丈夫?

 一般的に、積み立て投資とは、給与振込の銀行口座から毎月一定の金額を天引きし、そのお金で投資信託を毎月一定金額買い付ける仕組みのことです。この「天引き」というのが、絶対条件になります。

 なぜ天引き、つまり自動的に積み立てるほうがいいかというと、「パーキンソンの法則」で説明することができます。この法則は、「支出の額は、収入ギリギリまで膨張する」というもので、普通口座にお金が貯まると、その分が支出として出ていってしまうことを指しています。貯金が苦手な人に多い行動パターンでしょう。だからこそ、天引きのような「強制力」が必要というわけです。

 積み立て投資のいい点は、相場が下がったときに力が発揮されることです。これについては、具体的に過去の事例を使って説明をしていきましょう。たとえば、2004~2014年の期間を取って検証したいと思います。

 なぜこの10年間を使うかといえば、この期間というのは、ちょうど真ん中あたりの2008年にリーマンショックがあり、多くの人が「投資をしていてもあまり儲からなかった10年」だと思っているからです。

リーマンショックを挟んだ10年間はどうだったか

「100年に一度」と言われる暴落があったのですから、資産は現金で持っていたほうがいいと思うでしょうが、実際のところ、積み立て投資をしている人にとっては、このリーマンショックを挟んだ10年間はとてもいいマーケット環境だったのです。

では、この10年間の日経平均株価の動きを、簡単に説明します。

・2003年4月、日経平均株価は8000円割れ。当時は小泉政権だった
・為替が円安に動き、その後4年間で日経平均は1万8000円まで急上昇
・2008年9月アメリカでリーマン・ブラザーズが破綻し、リーマンショックが勃発。日経平均株価は1万8000円から7000円まで1年で急落
・その後いったん株価は戻るが、ギリシャショックで再び日経平均は1万円割れ
・2013年から始まったアベノミクスで日経平均は1年間で57%の上昇を見せ、1万6000円まで上昇

 このジェットコースターのような変動こそが、マーケットそのものです。この10年に注目した意味は、これほどの乱高下でも、きちんと積み立て投資を継続していれば、プラスのリターンになっているところを見てもらうためです。

結局、儲かったのは?

 では、実際の投資の成果を見ていきます。

 2003年、日経平均株価が1万円のときに100万円を投資した人が、そのまま10年間持ち続けた場合、100万円は160万円に増えています。

 しかし多くの人は、最初の4年で180万円に上昇したときは、まだ上がると思って保有し続け、一転リーマンショックで80万円に下がったときに怖くなって売却、もしくは買値の1万円に戻ったときにやれやれと売り、なんとか元本の100万円を確保したのではないでしょうか。

 それに比べて、日経平均株価に毎月1万円ずつ投資し、10年間投資を続けた人はどうなったかというと、120万円(1万円×12カ月×10年)が155万円になっています。

 ちなみに、NYダウも日経平均株価と同じような動きをしました。日経平均と違うのは、リーマンショック前の高値を抜いて、最高値を更新していることです。結果、海外株に投資する投資信託に、毎月1万円ずつ10年間投資をした場合は、120万円が約170万円に増えています。日経平均に投資をした場合(155万円)を大きく上回っています。

筆者の中桐氏の著書(画像をクリックするとAmazonのページにジャンプします)

「強制的」な仕組みだからよい!?

 このように、積み立て投資というのは、途中で下がって最後にまた上がるという値動きが一番理想です。価格が下がったときにたくさん口数を買えるので、価格が上がったときに資産は大きく膨らむという仕組みです。

 資本主義経済では、こうした価格の上下変動はくり返し起こるので、一括で投資をするより積み立て投資をしたほうが、一時的な値下がりに動揺しないで資産を着実に増やしていけるでしょう。

 しかし、それでも途中の下げ相場で不安になり、投資をやめてしまう人は少なくありません。だからこそ、自分ではどうしようもない「強制的」な積み立ての仕組みを使うのです。積み立て投資であれば、株価が安くなったときも、強制的に毎月天引きで買い続けられます。この機会に、積み立て投資について学び、実践してみることをお勧めします。

 

■ 中桐啓貴(なかぎり・ひろき)
 兵庫県出身。1997年「最後の新入社員」として入社した山一證券の倒産を経て、メリルリンチ日本証券で富裕層向け資産運用コンサルタンティングに従事。その後、米国でMBAを取得中、人々を幸せにしている現地のファイナンシャルアドバイザーの姿に衝撃を受け、日本でも同様のサービスを根付かせようと決意。2006年に「銀行でも証券会社でもない資産運用のパートナー」として設立したGAIAでは、これまで1万件を超える資産運用アドバイスを行う。主著に『損しない投資信託』(朝日新書)などがあり、著書累計部数は10万部を超える。

中桐氏の著書:
日本一カンタンな「投資」と「お金」の本

中桐 啓貴

参考記事

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兵庫県出身。1997年「最後の新入社員」として入社した山一證券の倒産を経て、メリルリンチ日本証券で富裕層向け資産運用コンサルタンティングに従事。その後、米国でMBAを取得中、人々を幸せにしている現地のファイナンシャルアドバイザーの姿に衝撃を受け、日本でも同様のサービスを根付かせようと決意。
2006年に「銀行でも証券会社でもない資産運用のパートナー」として設立したGAIAでは、これまで1万件を超える資産運用アドバイスを行う。
主著に『損しない投資信託』(朝日新書)などがあり、累計部数は10万部を超える。