3. 高齢期においては保険よりも貯金のほうが大切な理由
高齢期における資産管理では、保険よりも貯金のほうが重要です。
高齢期は、人生の中で保険の必要性が最も低下する時期です。現役時代は家族の生活を守るために死亡保障が重要ですが、子どもが独立して住宅ローンも完済していれば、高額な死亡保障は不要になります。むしろ手元に流動性の高い現金を持つことで、予期せぬ医療費や介護費用、生活費の変動に柔軟に対応できるでしょう。
医療費については公的医療保険の高額療養費制度があり、自己負担額には上限が設けられています。70歳以上になると自己負担額の上限が低くなるため、民間の医療保険に多額の保険料を払い続けるよりも、その分を貯金に回したほうが合理的です。
さらに、保険は請求手続きが必要で、給付条件も限定的です。一方、貯金は自分の判断でいつでも自由に使えるため、急な入院費用や施設入居の一時金など、多様なニーズに即応できます。
高齢期は収入が限られるため、固定費である保険料を抑えて流動性の高い貯金を厚くすることが、安心で柔軟な生活設計につながるのです。
