この記事の読みどころ

12月23日(水)22:30発表予定の米個人消費支出に注目です。

食品価格とエネルギー価格を除いたPCEコア・デフレータ(前月比)が最大の注目ポイントです。

11月のPCEコア・デフレータ(前月比)の市場予想は+0.1%となっています。

2015年12月23日(水)22:30発表予定の米個人消費支出(11月分)に注目

米商務省経済分析局(BEA)は、個人所得と実際の消費動向を捉えた個人消費支出を発表しています。

個人消費支出の中でも特に重要なのは、食品価格とエネルギー価格を除いたPCE(Personal Consumption Expenditure)コア・デフレータ(前月比)です。別名コアインフレとも呼ばれます。

米国の場合は、株価や土地の値上がり期待による消費の増加といった「資産効果」が顕著に現れ、米FRBが物価指標として重視していることから、市場参加者も注視しています。

11月のPCEコア・デフレータ(前月比)の市場予想は+0.1%

前回、10月のPCEコア・デフレータ(前月比)は、横ばいの0.0%でした。

個人所得が個人支出を上回る状況は継続しており、貯蓄は9月の7,229億ドルから7,619億ドルに増え、2012年12月以来の高水準となりました。從って、一般の消費者は、所得増加分を貯蓄にまわしていると考えられます。

今回12月23日に発表される11月のPCEコア・デフレータ(前月比)の市場予想は+0.1%となっており、これを上回る水準となった場合、米国のGDPの約70%を占める個人消費が堅調と判断され、株式市場全体にも支援材料となるでしょう。

【参考情報】米個人消費支出と個人所得の基礎知識

そもそも、米個人消費支出とは?

米国の個人消費支出(Personal Consumption Expenditures)と個人所得(Personal Income)は、米商務省経済分析局(BEA)が翌月下旬に発表しています。

インフレ度合いを測る重要な指標であり、米消費者物価指数に比較してバイアスが生じにくいと言われ、米FRBの金融政策へも影響を与える指標となります。

個人消費支出

個人消費支出とは、米国の消費者が1か月間で実際に消費した金額を集計したものです。

耐久財(自動車・家電製品等)、非耐久財(食品や衣料品)、サービス支出(外食や旅行)の3つから構成されており、このうちサービス支出が全体の約60%を占めています。

なお、以前ご紹介した米消費者物価指数(Consumer Price Index)とは集計対象や算出方法が異なり、医療保険制度を用いた医療費負担等の間接的な支払いも含まれています。

個人所得

個人所得は、給与・賃貸収入、利子、配当金などの合計金額から社会保険料を控除した、実際に受け取った所得を表します。

PCEデフレーター

名目個人消費支出を実質個人消費消費で割ったものがPCEデフレータです。PCEデフレータの前月比あるいは前年比がプラスであれば物価上昇圧力の高まりを、マイナスであれば物価上昇圧力の緩和を示します。

特に、価格変動が激しい食品価格とエネルギー価格を除いたPCEコア・デフレータは、米FRBの景気判断材料の中でも重要な経済指標となっています。

2007年11月に米FRBは、金融政策の透明性を高めるための追加措置として、経済見通しを年2回から年4回の発表に増やし、予測の対象期間も2年から3年に拡充しました。また、物価に関する新たな経済指標として、PCEデフレータとPCEコア・デフレータを加えました。

現在米FRBは、物価目標(ゴール)をPCEデフレータ(前年比)+2.0%に設定しています。

足元の物価動向を把握するには「コア」を捉えるべきですが、長期的に見ると、消費者の一般的な認識に近い食品価格とエネルギー価格を含めた「総合」が適切と、米FRBが判断したものと考えられます。

また、米FRBは「前年比」を重視していますが、マーケット参加者は「前月比」を要チェックとする傾向にあります。

※元データの確認は、米商務省経済分析局(BEA)のウェブサイトをご参照ください。

【2015年12月21日 投信1編集部】

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岡野 辰太郎