日本の個人投資家のリテラシーも10年前に比べると確実に上がってきているなと感じることが多くなってきています。ただ、そこはやはり「一歩一歩」といったところで、いきなり洗練されたというにはいきません。

多くの個人投資家が投資信託の運用コストである信託報酬に注目し、その水準が低いインデックスファンドの認知度が高まったのは良いことですが、実はその扱いに慣れているかといえばそうではありません。今回はインデックス投信の弱点について見ていきましょう。

インデックスには信託報酬の分だけ負ける

インデックスファンド(インデックス投信)は、そもそもベンチマークである株価指標の動きに可能な限り近づけようと努力している投資信託です。

したがって、一番良いインデックスファンドとされているのがインデックスファンドの動きと連動することです。専門的に言うとトラッキングエラーが可能な限り小さくなることを言います。

こういうとインデックスの動きに可能なまでに近づけたインデックファンドの何が悪いのか、という声が聞こえてきます。

まさにポイントはそこです。

インデックスファンドは、「トラキングエラーを下げる」という工夫がされている分だけ「手間」を必要としています。つまり、それが付加価値でもあり、コストなのです。そのコスト、つまり信託報酬の分だけ、パフォーマンスは負けてしまいます。

信託報酬も数十ベーシスなので「まあ、いいかと」割り切るか、「数十ベーシスもかぁ。つみあがると馬鹿にならないなぁ」と考えるのかは、人によるかもしれません。

インデックスにはさえない銘柄も含まれる

TOPIXや日経225をベンチマークとしたインデックスファンドはご承知のようにインデックスを構成する様々な銘柄が含まれます。

TOPIXなどはまさに東証1部に上場する銘柄すべての銘柄を対象とした株価指数であり、基本的には時価総額をベースにして指数が構成されています。ちなみに、東証が定期的に算出する浮動株比率が反映されている時価総額を使っています。

さて、このTOPIXですが、その中に、あなたが好きな銘柄は含まれているでしょうか。「はい」と回答した方には「良かったですね」といいたいところですが、決してそうとは言い切れないところに問題があります。

TOPIXが東証1部とはいえ、株式市場全体というところに問題があります。

それは、ROEが低かったり、業績がいまいちな企業は数多く含まれているからです。いわゆる「ボロ株」といわれかねないような銘柄も含まれてしまいます。これらも東証1部の上場基準に問題があるわけですが、その基準が変わらないことには、「良い銘柄だけ」というようにはなりません。

近年、インデックスでもよい銘柄だけで構成されるインデックスが開発されたり、スマートベータなる展開も進んできていますが、まだ多くの投資家が享受できるような投資環境とはなっていません。

アセットアロケーションが資産のパフォーマンスを決める

国内外の資産のインデックスファンドをいくつもそろえた。あとはほったらかし。

そんな個人投資家の方も多いのではないでしょうか。

実は、そうした様々な資産で構成されたポートフォリオのパフォーマンスはアセットアロケーション(資産配分)で決まるといわれています。

運用会社には「アセットアロケーター」という役目の人がいて、その人が資産構成を決めています。

ポートフォリオのパフォーマンスは、国内外の株式や債券、REITなどの資産配分がカギとなります。

毎日大きく変えるという作業は必要ありませんが、皆さん、適切に調整、コントロールできているのでしょうか。プロでもむずかしいといわれる作業ゆえ、個人投資家の皆さんが適切に行えるのかどうかは人によるともいえるでしょう。

インデックスファンドは「エンジンむき出しの車のようなもの」と例える人もいて、なるほどなぁと思います。車を安全に運転しようと思えば、ブレーキやハンドルはもちろんのこと、エアバッグや衝突防止装置も必要です。

日本株は循環株

日本株のインデックスファンドをお持ちという方は多いのではないでしょうか。

話はそれますが、日本株は循環株です。米国株や世界株のように循環しながら成長していくという代物では残念ながらありません。

たとえば、TOPIXでいえば800ポイントを底にして、天井は1800ポイントです。このレンジで株価指数は上下しています。

つまり、日本株のインデックスファンドはトレーディングが必須ということが言えます。ドルコスト平均法で株を買っているという人もいますが、下げトレンドでは傷口が広がります。循環株である日本株のインデックスファンドには注意が必要です。

インデックスファンドでは物足りないと考えたあなたへ

ここまでお読みいただいた読者の方は既にお気づきだと思いますが、資産形成にはインデックスファンドだけでは不足していて、それ以外の要素も重要だということです。

様々な資産を効率よく運用したい場合には、アセットアロケーションを適切に行ってくれるバランス型ファンドが必要です。アセットアロケーションが運用リターンの多くを決めるといわれている中で、そこをDIYでと考えるのは危険です。信託報酬を考慮してもベンチマークを上回るファンドもありあます。

そもそもしっかりとリスクをコントロールしたい人に信託報酬の議論は必ずしも優位にはありません。そうした層は高齢者や富裕層だったりしますが。

また、イケてない銘柄が入っている日本株インデックスファンドはいやだという方は、優良な日本株を数銘柄保有してポートフォリオを構成するのが良いでしょう。日本株でも優良な成長銘柄はあるものです。

インデックスファンドは魅力的な金融商品であることは間違いないですが、その弱点も頭に入れておくとよいでしょう。

 

青山 諭志