2025年11月26日、日本維新の会は社会保障制度改革について、自民党と3回目の協議を行いました。

今回のテーマの中で注目したいのが「医療保険の保険料・窓口負担の在り方」です。今後は、「保険料・窓口負担について年齢で区切らずに、金融所得を含めた支払能力に応じて決定する方向」で議論を進めているとのこと。

近年、シニア層の保険料は増加傾向にあります。75歳以上が加入する後期高齢者医療保険においても同様で、年金以外の所得がない世帯の家計への負担は小さくありません。

では、後期高齢者の保険料は現時点で月どれくらいなのでしょうか。保険料は収入に応じて決定するため、年金収入195万円と82万円をピックアップして見ていきます。

また、保険料はお住まいの自治体により違いがありますので、都道府県ごとの保険料の違いも見ていきましょう。

1. 原則、75歳以上が加入する「後期高齢者医療制度」とは?

日本では「国民皆保険制度」が導入されており、すべての人がいずれかの公的医療保険に加入する仕組みになっています。

加入する保険の種類は、基本的に働き方によって決まります。

会社員であれば「協会けんぽ」や「健康保険組合」、公務員や教職員であれば「共済組合」、自営業者や無職の人は「国民健康保険」に加入するのが一般的です。

一方で、75歳以上になると、それまで加入していた保険に関係なく、原則として全員が「後期高齢者医療制度」に移行します。

なお、65歳以上で一定の障害があると認定された人は、希望によりこの制度へ加入することも可能です。

【障害認定される要件】

  • 障害年金1級または2級
  • 身体障害者手帳1級、2級、3級または「4級の一部」
  • 精神障害者保健福祉手帳1級または2級
  • 東京都愛の手帳(療育手帳)1度または2度

※身体障害者手帳の「4級の一部」は、「下肢障害4級1号(両下肢のすべての指を欠くもの)」、「下肢障害4級3号(一下肢を下腿の2分の1以上で欠くもの)」、「下肢障害4級4号(一下肢の機能の著しい障害)」、「音声・言語機能障害」が該当

後期高齢者医療制度は、各都道府県に設置されている「後期高齢者医療広域連合」が運営主体となり、すべての市町村がその枠組みに参加しています。

この制度における医療費の自己負担割合は原則1割ですが、所得状況によっては異なる負担割合が適用される点に注意が必要です。

  • 一般所得者等:1割負担
  • 一定以上所得者:2割負担
  • 現役並み所得者:3割負担

それぞれの所得要件は、以下のとおりです。

  • 一般所得者:課税所得28万円未満
  • 一定以上所得者:課税所得28万円以上145万円未満
  • 現役並み所得者:課税所得145万円以上

次章では、後期高齢者医療保険料はどれくらいなのか確認していきましょう。

2. 「後期高齢者医療制度」の「保険料」はいくら?《2025年度》

後期高齢者医療保険料は原則2年ごとに見直されます。直近では2024年度に改定が行われたため、2025年度の保険料率に新たな変更はありません。

この制度は、高齢者自身が納める保険料に加え、現役世代が拠出する「後期高齢者支援金」によって成り立っています。

しかし、少子高齢化の影響で制度開始時と比べると、現役世代の負担は1.7倍にまで増加しています。

そこで2024年度からは、高齢者1人あたりの保険料の上昇幅と、現役世代が負担する支援金の上昇幅が同じ水準となるよう制度の見直しが進められています。

全国平均で見た被保険者1人あたりの年間保険料額は、以下のとおりです。

  • 被保険者均等割額の年額:5万389円
  • 被保険者均等割額の月額:4199円
  • 所得割率:10.21%
  • 平均保険料額の年額:8万6306円
  • 平均保険料額の月額:7192円

※2022年度~2023年度は平均保険料額の月額が6575円だったため7.7%の増加

ただし、ここで示した数値はあくまで全国平均にすぎません。

実際の後期高齢者医療制度の保険料は、次の2つの区分を組み合わせて算出されます。

  • 均等割額:被保険者が均等に負担する保険料
  • 所得割額:被保険者の前年の所得に応じて負担する保険料

より具体的な数値を見ることで、保険料のイメージがつかみやすくなるでしょう。

次章では、年金収入195万円の場合に後期高齢者医療保険料が都道府県ごとに、どのくらい異なるのかを確認していきます。

3. 「後期高齢者医療制度」の「保険料」がいちばん高い都道府県はどこ?(年金収入195万円の場合)

都道府県ごとの違いを確認するために、まずは年金収入195万円の場合の月額保険料例を見てみましょう。

2025年度の都道府県別保険料は、次のようになっています。

  • 全国:5673円
  • 北海道:6325円
  • 青森県:5415円
  • 岩手県:4808円
  • 宮城県:5216円
  • 秋田県:5042円
  • 山形県:5283円
  • 福島県:5056円
  • 茨城県:5358円
  • 栃木県:4991円
  • 群馬県:5567円
  • 埼玉県:5067円
  • 千葉県:5008円
  • 東京都:5355円
  • 神奈川県:5440円
  • 新潟県:4850円
  • 富山県:5033円
  • 石川県:5573円
  • 福井県:5458円
  • 山梨県:6003円
  • 長野県:5156円
  • 岐阜県:5400円
  • 静岡県:5275円
  • 愛知県:6117円
  • 三重県:5475円
  • 滋賀県:5371円
  • 京都府:6180円
  • 大阪府:6495円
  • 兵庫県:6134円
  • 奈良県:5833円
  • 和歌山県:6125円
  • 鳥取県:5892円
  • 島根県:5618円
  • 岡山県:5758円
  • 広島県:5438円
  • 山口県:6408円
  • 徳島県:6033円
  • 香川県:5892円
  • 愛媛県:5719円
  • 高知県:6100円
  • 福岡県:6641円
  • 佐賀県:6250円
  • 長崎県:5792円
  • 熊本県:6259円
  • 大分県:6509円
  • 宮崎県:5675円
  • 鹿児島県:6592円
  • 沖縄県:6410円

月額保険料が最も高いのは福岡県で6641円、最も低いのは岩手県で4808円となり、その差は1833円でした。

4. 「後期高齢者医療制度」の「保険料」がいちばん高い都道府県はどこ?(年金収入82万円の場合)

次に、国民年金のみを受給しているケースを想定し、年金収入82万円の場合の保険料例を都道府県別に見ていきましょう。

2025年度の都道府県別保険料は、以下のとおりです。

  • 全国:1260円
  • 北海道:1316円
  • 青森県:1170円
  • 岩手県:1092円
  • 宮城県:1183円
  • 秋田県:1125円
  • 山形県:1190円
  • 福島県:1148円
  • 茨城県:1183円
  • 栃木県:1133円
  • 群馬県:1225円
  • 埼玉県:1142円
  • 千葉県:1092円
  • 東京都:1183円
  • 神奈川県:1148円
  • 新潟県:1100円
  • 富山県:1167円
  • 石川県:1269円
  • 福井県:1242円
  • 山梨県:1269円
  • 長野県:1109円
  • 岐阜県:1233円
  • 静岡県:1175円
  • 愛知県:1333円
  • 三重県:1223円
  • 滋賀県:1215円
  • 京都府:1409円
  • 大阪府:1429円
  • 兵庫県:1320円
  • 奈良県:1283円
  • 和歌山県:1358円
  • 鳥取県:1300円
  • 島根県:1254円
  • 岡山県:1250円
  • 広島県:1241円
  • 山口県:1425円
  • 徳島県:1400円
  • 香川県:1350円
  • 愛媛県:1298円
  • 高知県:1400円
  • 福岡県:1500円
  • 佐賀県:1425円
  • 長崎県:1308円
  • 熊本県:1450円
  • 大分県:1480円
  • 宮崎県:1292円
  • 鹿児島県:1492円
  • 沖縄県:1410円

最も高いのは福岡県で1500円、最も低いのは岩手県と千葉県で1092円となり、その差は408円でした。

5. 2026年4月からは「子ども・子育て支援金」の徴収スタート

少子高齢化により、社会保障制度を維持するために保険料負担は増加傾向にあります。

政府は少子化対策として、子育てしやすい環境を整えるべく、その財源を全ての世代から徴収すると決定しました。

「子ども・子育て支援金」といわれるそのお金は、2026年4月より、医療保険料に上乗せする形で徴収が始まります。

支援金の負担額は収入によって異なり、こども家庭庁が公表している2028年度の目安額はひと月あたり数百円です。

《2028年度》単身世帯・年収別支援金の目安額(年金収入のみの場合)2/2

《2028年度》単身世帯・年収別支援金の目安額(年金収入のみの場合)

所:こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室「子ども・子育て支援金制度について」をもとにLIMO編集部作成

しかし、医療保険料自体の負担増も避けられない中、この数百円の負担も決して軽視できません。

さらに、保険料や窓口負担割合の算定に金融所得が考慮される可能性についても、現在議論が活発に進められています。これが実現すれば、金融資産を持つ世帯では負担がさらに増加し、家計の抜本的な見直しが必要となるかもしれません。

私たちは、医療保険料に限らず、日々の暮らしにおいて「負担が増える」ことを前提に、将来の生活設計を立てておく必要があります。

参考資料