「周りの人はどのくらい貯蓄があるんだろう」という疑問、誰でも1度は感じたことがあるのではないでしょうか。だいたいの基準は「平均値」で分かるというイメージですが、実は「中央値」とは違った数字になることが多いのです。
そこで今回は、気になる貯蓄額の平均値と中央値について迫ってみました!
「貯蓄」に含まれるものは?
まずは、貯蓄の定義を確認しておきましょう。総務省が毎年発表している「家計調査報告(貯蓄・負債編)」では、「貯蓄」を以下のように定めています。
・ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金
・生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)
・株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)
・社内預金、勤め先の共済組合など金融機関外の貯蓄
なお、公的年金、企業年金、たんす預金、不動産や貴金属などの資産は対象外です。
勤労者世帯の貯蓄額は?
では、2018年5月18日に出た「平成29年(2017年)平均結果(二人以上の世帯)」のうち、勤労者世帯(二人以上の世帯に占める割合50.9%)の貯蓄額とその内訳について見ていきましょう。
2017年の勤労者世帯の貯蓄現在高の平均値は1327万円。そして貯蓄保有世帯の中央値は792万円、貯蓄「0(ゼロ)」世帯を含めた中央値(参考値)は743万円となりました。平均値に比べると、中央値はかなり低い値であることが分かります。
シニア世代の平均貯蓄額との差はどうして?
次に、お金に余裕があるイメージのシニア世代をみてみましょう。2018年5月に総務省が発表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、60~69歳の平均貯蓄額は2382万円、70歳以上は2385万円となっています。
その一方、40歳未満の1世帯(2人以上)あたりの平均貯蓄額は602万円。60代以上の金額と比べると、かなりの差があることが分かります。
この差を生み出しているのは、「退職金」が影響していることが考えられます。経団連の「退職金・年金に関する実態調査結果」(2017年6月発表)による標準者退職金の結果では、「管理・事務・技術労働者(総合職)」の60歳大学卒の退職金額は2374.2万円、高校卒は2047.7万円となりました。
標準者退職金とは、学校卒業後直ちに入社し、その後標準的に昇進・昇格した者を対象に算出した退職金のこと。正社員として働いていた方は、この退職金で貯蓄が一気に増えるのでしょう。