新NISA制度の導入を契機に、資産形成の市場に大きな変化の波が押し寄せています。金融庁の調査によれば、2024年上半期の投資信託販売額は13.7兆円という規模に達しました。

この「投資信託」は、新NISA制度の1つである「つみたて投資枠」で選択できる商品の中核であり、市場拡大の背景には新NISA制度の普及が強く影響していると考えられます。

そこで本記事では、現役引退年齢を65歳と想定し、35歳から現役引退まで新NISA制度を活用した毎月2万円の積立投資を行った場合の投資結果をシミュレーションしていきます。

さらに、どのような人が、新NISA制度による積立投資に向いているのかについても具体的に解説していきます。

「投資に興味はあるけれど、本当に自分に合っているのだろうか」「どのくらいの効果が期待できるのだろうか」という疑問をお持ちの人は、老後のための投資への第一歩として、ぜひご一読ください。

1. 投資シミュレーション

それでは早速、35歳から30年間の積立を想定した投資シミュレーションを、3%と5%という2つの利回りを用いて行っていきます。

1.1 パターン1〜利回り3%〜

【前提条件】

  • 積立金額:月2万円
  • 積立期間:30年間
  • 年利回り:3%

将来の運用資産額(利回り3%)2/5

将来の運用資産額(利回り3%)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【投資結果】

  • 投資元本:720万円
  • 運用収益:437万円
  • 投資後資産額:1157万円

年利回り3%による試算では、30年間の積立投資で得られる運用益は437万円となります。投資結果として華々しい数字ではないかもしれませんが、銀行にただ預けるだけの預金と比較すれば、その差は歴然です。地道ながらも着実に資産形成ができる結果となります。

例えば、高いリターンを追求する投資を行う場合には、市場動向を頻繁にチェックして、専門知識に基づく判断をしなければならず、タイミングを誤れば元本を大きく割り込む可能性もあります。

これに対し、市場価格とした連動したインデックスファンドへの長期的な積立投資は「派手さはないが堅実」という特徴があります。長期的に投資をすることで、市場の一時的な変動に結果が左右されにくく、リスクを緩和できるため、投資初心者や忙しい方でも無理なく続けられます。

新NISA制度を使った投資を成功させるためには「過度な期待をしないこと」です。 目標を高く持ちすぎず、焦らずコツコツ続けることで、着実な資産形成のステップを踏むことができます。

1.2 パターン2〜利回り5%〜

【前提条件】

  • 積立金額:月2万円
  • 積立期間:30年間
  • 年利回り:5%

将来の運用資産額(利回り5%)3/5

将来の運用資産額(利回り5%)

出所:金融庁「つみたてシミュレーター」

【投資結果】

  • 投資元本:720万円
  • 運用収益:911万円
  • 投資後資産額:1631万円

利回り年5%でのシミュレーションでは、30年間の積立投資による運用利益は911万円に達します。最終資産額は投資元本の約2.2倍となり、しっかりと資産形成ができる結果となりました。

もちろん、投資のプロであっても将来の運用成績を正確に予測することは不可能であり、「この商品なら確実に平均利回り5%のリターンが得られる」と断言できるものはありません。しかし、今までの推移を見る限り、世界的な経済市場は、短期的には上下動を繰り返しながらも、長期的には成長を続けています。

そのため、30年という長期的な投資を行うことで、年平均5%程度のリターンを実現できる可能性は決して低くありません。

2. 新NISA制度の積立投資はどんな人におすすめ?

今回のシミュレーション結果を元に、新NISA制度を使った積立投資に「向いている人」についてお伝えをしていきます。

2.1 投資活動に時間を掛けられない人

積立投資の魅力は、一度設定すれば基本的にそのまま放置できる手軽さにあります。毎月定額で自動的に投資が続くため、市場の変動に一喜一憂する必要がなく、日々の値動きをチェックする時間がない方にも最適です。

むしろ、相場の動きに合わせて頻繁に投資金額や商品を変更してしまうと、長期投資による分散効果やリスク低減のメリットを自ら手放してしまうことになりかねません。「設定したら忘れる」くらいの姿勢が、意外にも資産形成の成功につながるのです。

2.2 長期的にお金を育てたい人

積立投資は、「時間」を味方にすることで、その効果を最大限発揮します。長期にわたって積立・保有することで複利効果が働き、利益に対してさらに利益が生まれる「雪だるま式」の資産増加が期待できるのです。また、世界経済は短期的な変動はあれど、長期的には成長傾向にあるため、投資期間が長くなるほど安定的なリターンが見込めます。

長期積立投資のメリット4/5

長期積立投資のメリット

出所:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

月々の投資額はそれほど大きくなくとも、時間という要素が加わることで最終的な資産額は驚くほど大きくなる可能性があります。短期的な値上がり益を狙うのではなく、じっくりと資産を育てたい方にとって、積立投資は最適な選択といえるでしょう。

2.3 投資初心者の人

新NISA制度の「つみたて投資枠」で選べる商品は、金融庁の基準をクリアした安心できる投資信託に限られています。その多くが世界経済の動向と連動する「インデックスファンド」であり、個別銘柄選びの難しさから解放されます。

つみたて投資枠対象商品の要件5/5

つみたて投資枠対象商品の要件

出所:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

インデックスファンドは市場全体の動きに連動するため、長期保有することでリスクを抑えながら運用を行えるという特徴があります。投資の専門知識がなくても始められる敷居の低さは、投資初心者にとって大きな魅力でしょう。

2.4 まずは少額から始めたい人

「投資には大金が必要」という先入観を持つ方も多いかもしれませんが、積立投資の強みは少額から始められることにあります。月々数千円から数万円という、日常生活を圧迫しない範囲の金額でコツコツと続けることで、時間をかけて着実に資産を育てることができます。

大切なのは投資額の大きさではなく、継続する力と時間の活用です。実際、一度に大金を投じるよりも、定期・長期的な積立の方が、長い目で見ると効率的なケースも少なくありません。

「資金が貯まってから本格的に始めよう」と考えるより、今から可能な範囲で始めることが、複利の効果を最大化する秘訣なのです。

3. おわりに

30歳代において、「老後はまだ先」と感じる人も多いかもしれませんが、積立投資において投資期間の長さは最強の武器です。

積立投資をコツコツと行うことで、時間をかけて安全にお金を育てることができ、若い時期から無理のない金額で始めれば、老後の生活に大きな安心をもたらす資産を形成できます。

特に新NISA制度であれば、投資に関する専門知識がなくても、時間や資金に余裕がなくても、誰もが始めやすい環境が揃っています。

そのため、「投資は難しい」「自分には向かない」と躊躇している人こそ、新NISAの積立投資を活用してみてください。

大切なのは、まずは一歩を踏み出すことです。あなたの未来の可能性を広げる投資を、この機会に始めてみませんか。

参考資料

斎藤 彩菜