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11月16日(月)8:50発表予定の日本7-9月期国内総生産(GDP)に注目が集まっています。

仮に2四半期連続のマイナス成長となれば、中長期的にリセッション(景気後退)懸念が高まるきっかけになるかもしれません。

2四半期連続のマイナス成長となれば、日本株全体にネガティブな影響が出るだけでなく、景気敏感セクターからディフェンシブセクターへの資金シフトが加速する可能性も高まります。

11月16日(月)8:50発表予定の日本7-9月期国内総生産に注目

近年の国内総生産(以下、GDP)を振り返ると、2014年4月の消費税増税(5%→8%)により悪化したものの、同年10月の日銀の追加金融緩和を受けて回復傾向にありました。

実質GDP成長率(前期比)で数字を見ると、2014年10-12月は+0.3%、2015年1-3月は+1.1%となっています。

ところが、15年4-6月は-0.3%とマイナス成長となりました。こうした中、11月16日(月)8:50発表予定の日本7-9月GDPに注目が集まっています。

2四半期連続のマイナス成長は、中長期的にリセッション懸念が高まる

今回の日本7-9月GDPの市場予想は、前期比-0.1%、前期比年率-0.4%となっています。通常は市場予想を上回るか否かが最大の注目点となります。

しかし、今回は市場予想を上回か否かに加えて、2四半期連続のマイナス成長を回避できるかが注目されます。2四半期連続でのマイナス成長は、中長期的にリセッション(景気後退)懸念が高まり得る数値でもあるためです。

2四半期連続でのマイナス成長となった場合、日本株全体にネガティブな要素となるでしょうし、セクター別に見ると、景気敏感セクターからディフェンシブセクターへの資金シフトが加速する可能性も考えられます。

出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】日本国内総生産(GDP)の基礎知識

そもそも、GDPとは?

GDP統計は、国民経済全体の生産活動に関する統計であり、景気動向を把握するには便利です。いわゆる外国人投資家が、海外投資をする際、最初にチェックをするのが、投資対象国のGDP見通しになります。

ただし、GDP統計には、2点のデメリットがあります。

第1は、統計としてまとまるのに時間がかかること。第2は、速報値として発表されるので、後日より多面的なデータで計算される確報値として修正されることです。

そこで、通常は、GDP統計よりも早く発表される経済指標をチェックして、経済動向を把握しようと努めます。

GDPはQE(Quarterly Estimations)と呼ばれ、四半期毎の国内総生産の伸び率を表しています。当該四半期終了2か月後に、内閣府が公表します。1次速報は2・5・8・11月中旬、2次速報は3・6・9・12月中旬に発表されます。

GDPは、民間最終消費支出+投資(企業の設備投資や家計の住宅投資等)+政府部門の支出+純輸出(輸出から輸入を差し引いたもの)で構成されています。

メディアでよく用いられる「経済成長率」とは、名目GDPから物価変動の影響を除いた「実質GDPの成長率」を指します。

また、上記グラフにあるように、実質GDPの四半期データを見る際は、最初は戸惑うかもしれません。

「年度間のGDP=540兆円前後」だと記憶されている方にとっては、四半期毎のデータも同じような数値が並んでいることに違和感があるでしょう。

実は、原数値と違い、季節調整値を年換算して表記しているのです。伸び率については、季節調整を行っているので、前期比、前期比年率で捉えることが可能です。

なお、前期比年率の伸び率は、あくまでその四半期に限定された、いわば「瞬間風速」である点に注意しましょう。

※元データの確認は、内閣府のウェブサイトをご参照ください。

岡野 辰太郎