6. 【コラム】年金本体にプラスで振り込まれる「年金生活者支援給付金」対象となるのはどんな人?
年金生活者支援給付金は、公的年金などの収入や所得が一定基準額以下の方に支給されるものです。基礎年金を受給する人が一定の所得要件を満たす場合に受け取れるお金で、2ヵ月に一度の年金支給日に、年金本体とは別に振り込まれます。
年金生活者支援給付金には「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれ老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金の受給者が対象です。各給付金には、年金収入額や所得額に応じた独自の支給要件が設けられています。
6.1 老齢年金生活者支援給付金
老齢年金生活者支援給付金を受け取れるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
6.2 障害年金生活者支援給付金・遺族年金生活者支援給付金
- 障害基礎年金/遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が479万4000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金/遺族年金等の非課税収入は除く
この給付金は、消費税率引き上げ分を財源としており、支給要件を満たすと2年目以降は原則として手続きなしで継続受給ができます。ただし、年金本体とは別に請求手続きが必要です。支給要件を満たしても自動で振り込まれるわけではありません。
ご自身の収入・所得状況を確認し、受給要件を満たしている可能性がある場合は、日本年金機構のホームページなどで受給額や手続き方法を確認しましょう。
7. まとめにかえて
今回は、公的年金の「2階建て構造」や、厚生労働省の最新データに基づく「今のシニア世代の、年金受給額の相場」を見てきました。
現役時代にコツコツと納めた年金保険料は、まさに「勤労の成果」と言えるでしょう。
国民年金(1階部分)と厚生年金(2階部分)では、平均年金月額に大きな差があります。その背景には、今のシニア世代が「現役だったころ」の働き方の違いあることも分かりました。
特に厚生年金における受給額の男女差は、働き盛り世代の私たちにとって、キャリアやライフプランを考える上で無視できない事実と言えるでしょう。
ただし、今回ご紹介した平均年金月額は、あくまでも「全体像」を示すものです。将来の年金額は、働き方や年金加入状況により、ひとりひとり異なります。
「ねんきんネット」などを活用し、ご自身の年金記録や見込み額を早めに把握しておけたらよいですね。
また、年金本体や「年金生活者支援給付金」などの公的支援制度の多くが申請主義をとっています。受給資格があっても、請求手続きをおこなわないと1円も受け取ることができません。
貯蓄や家計管理とともに、「手続きしないと受け取れない」公的なお金に関する情報についても、アンテナを高く張っておきましょう。
