長寿化が進む現代、多くのシニアにとって「仕事」と「公的年金」は、長くなる老後の生活を支える二大柱となっています。内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65~69歳の男性の6割以上、女性の4割以上が就労を続けています。

一方で、60歳以降は賃金が下がるケースや、希望通りの職に就けないといった課題に直面することもあります。老後の経済的な安定を図るためにも、働き続けるシニアをサポートする公的制度を理解しておくことは非常に重要です。

本記事では、働くシニアを対象とした「雇用保険関連の給付金」や、公的年金に上乗せされる「加給年金」や「年金生活者支援給付金」といった制度を詳しく解説します。

さらに、2025年6月に成立した年金制度改正法」の中から、特に注目すべき遺族年金の見直し(遺族厚生年金の男女差解消など)についても、シニア世代の備えとして知っておきたい重要な情報として整理してお伝えします。

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1. 年金と仕事は、シニアの暮らしを支える柱。知っておきたい「支援制度」はたくさんあります

内閣府「令和7年版高齢社会白書」によると、65~69歳の男性の6割以上、女性の4割以上が就労中です。70歳代前半でも、男性の4割弱、女性の2割以上が仕事を続けています。

年齢を重ねるにつれて働く人の割合は少しずつ減少するものの、シニア全体で見ると就業率は徐々に高まっています。

一方で、60歳以降は給料が下がるケースが多く見られます。また、現役時代のように希望通りの仕事に就けなかったり、健康上の理由で働き続けることが難しくなったりすることもあるでしょう。

厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」によると、日本人の平均寿命は、男性81.09年、女性87.13年。老齢年金世代である65歳以上のシニアにとって、「公的年金」と並んで「就労」は、長くなる老後の暮らしを支える重要な柱となっています。

次の章以降では、シニアを対象とする給付金や手当などのうち申請しないと受け取れない、「雇用保険関連のお金」と「公的年金に上乗せされるお金」について、整理してお伝えしていきます。