12月は医療費や薬局の利用が増えやすい季節で、年末にかけて家計負担の変化が気になる方も多い時期です。
特に、75歳を迎えると加入することになる「後期高齢者医療制度」では、自己負担割合が人によって異なるため、自分がどの区分に当てはまるのか分かりづらいという声が多く聞かれます。
近年は制度改正の議論も続き、医療費や社会保障の負担をめぐる関心が一段と高まっています。
さらに、子ども・子育て支援の拡充に向けた新たな負担制度も控えており、高齢者にも少なからず影響が及ぶ見通しです。
本記事では、後期高齢者医療制度の基本的な仕組みから、自己負担割合が変わる所得基準、今後加わる予定の支援金制度まで、分かりやすく整理して解説します。
1. そもそも「後期高齢者医療制度」とは?
「後期高齢者医療制度」は、2008年に創設された、75歳以上の高齢者を対象とした公的医療保険制度です。
制度が導入される以前は、高齢者も国民健康保険や被用者保険(協会けんぽ・健康保険組合など)に加入していました。
しかし、人口の高齢化が進むなかで、医療費の急増と財政負担の不均衡が深刻化。現役世代と高齢者の間で公平な負担を保ちながら、制度を安定的に運営することが難しくなっていました。
こうした課題を解決するために、高齢者専用の独立した医療制度として新たに設けられたのが「後期高齢者医療制度」です。
日本に住民票がある方は、75歳の誕生日を迎えると自動的に後期高齢者医療制度へ移行します。
個別の申請手続きは不要で、お住まいの市区町村から「後期高齢者医療被保険者証(保険証)」が郵送で届きます。
また、65歳以上で一定の障害がある場合には、本人の申請によって75歳未満でも加入できる特例(障害認定による特例加入)も設けられています。
