4. 還暦以降の人生の不安

70歳代のお金事情についてか確認しましたが、老後に不安に思うことについて、PGF生命「2025年の還暦人に関する調査」よりみていきましょう。

同調査では還暦以降（60歳以降）の人生で不安に思うことを全回答者（2000名）に聞いたところ、以下の通りでした。

4.1 還暦以降（60歳以降）の人生で不安に思うこと

  • 1位「身体能力の低下（体の病気や寝たきりなど）」（48.5%）
  • 2位「収入の減少（60歳以降の雇用形態の変更など）」（35.8%）
  • 3位「物価上昇」（34.4%）
  • 4位「自分の介護」（34.1%）
  • 5位「判断能力の低下（認知症等脳の病気や車の運転など）」（32.8%）

健康面やお金に関する不安を抱えている人が多いとわかりますね。

同調査では、人生100年時代への備えとして行っていることとして以下となっていました。

4.2 人生100年時代への備えとして行っていること

  • 1位「健康診断の受診」（32.2%）
  • 2位「体力づくり」（31.5%）
  • 3位「貯蓄」（30.8%）
  • 4位「食生活の見直し」（18.4%）
  • 5位「資産運用（新NISA）」（17.0%）

こちらに関しても健康とお金の対策をしているとわかります。

おひとりさまは一人で生活していくことになりますから、上記のようなお金と健康の対策は早くから考えておきたいところです。

5. まとめ

今回の調査データから、高齢者の単身世帯が増加していること、そして70歳代のおひとりさまの貯蓄額には大きな二極化が見られることが明らかになりました。 平均貯蓄額は1500万円を超える一方で、中央値は500万円を下回り、貯蓄ゼロの方も少なくありません。

また、公的年金の受給額も、厚生年金でさえ男性の平均が約16万円、国民年金のみでは5万円台と、生活費を賄うには心もとない水準です。 多くの人が還暦以降の人生で「身体能力の低下」や「収入の減少」「物価上昇」といった不安を抱えている現実も浮き彫りになりました。

しかし、不安を抱えたまま立ち止まるのではなく、具体的な行動に移すことが重要です。 健康診断の受診や体力づくりと並び、「貯蓄」や「資産運用」といった経済的な備えも、人生100年時代を豊かに生きるための重要な柱となります。

早いうちから私的年金制度の活用や、新NISAなどを用いた資産形成を計画的に進め、安心できる老後の土台を築きましょう。 まずは自身の現状を把握し、一歩踏み出すことから始めてください。

参考資料

石津 大希