厚生年金を受給しながら働いている場合、働きすぎると年金が減らされると聞いたことがある方もいるでしょう。

せっかく働いても年金がカットされると、働く気力がなくなってしまいます。

しかし、2026年4月から年金が支給停止になる基準額が大幅に引き上げられ、年金を減らされない方が増えると見込まれています。

本記事では、在職老齢年金の概要や2026年4月からの改正点について解説するとともに、どのくらい年金が増えるのかシミュレーションしていきます。

1. 「在職老齢年金」の見直しの内容とは

在職老齢年金とは、年金を受給しながら働いて収入を得ている方が、一定額以上の給与や賞与を受け取った場合、年金の一部または全部が支給停止になる制度です。

65歳以上でも働いて給与収入を得たい一方で、在職老齢年金により年金が減らされることを恐れて、働き方を制限せざるを得ないケースがありました。

しかし、5月16日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が成立し、在職老齢年金制度の見直しが行われました。

その結果、2026年4月から在職老齢年金の基準額が引き上げられることになります。

支給停止の基準額は、これまでも年々引き上げられてきており、2024年度は50万円だったものが2025年度は51万円に、そして2026年度は一気に62万円に引き上げられる予定です。

厚生労働省はこの引上げにより、老齢厚生年金を全額できるようになる方が、新たに20万人増加するとしています。

これまで、収入をもらい過ぎると年金が減らされ、いわゆる働き損になっていた方でも、支給停止の基準額が引き上げられることで、収入や年金が調整されるケースが減ることになります。