2024年6月5日に成立した「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」により、2026年4月から3年間にわたり「子ども・子育て支援金」が徴収されることが決定しました。
少子化対策として、すべての世代で子どもや子育て世帯を支えるために、毎月の医療保険料と合わせて負担します。
すべての世代が対象となるため、年金生活者も負担することになります。
年金生活者にとって医療保険料の負担が増えることは、生活費に充てる分が少なくなることを意味し、いくらくらい負担するのか心配な方もいるでしょう。
本記事では、子ども・子育て支援金の概要や、年金収入のみ単身世帯が負担する金額の目安を詳しく解説します。
1. 子ども・子育て支援金制度とは
子ども・子育て世帯支援金制度とは、子どもや子育て世帯を全世代・全経済主体で支えるための仕組みのことです。
2023年12月に策定された「こども未来戦略」の1つで、若い世代が将来に希望を持ち、安心して結婚や出産・子育てができる環境を整備することを目的としています。
2030年代になると結婚や出産を考える若年世代が急激に減少し始めることから、それ以前に少子化の改善を図ります。
子ども・子育て支援金は少子化対策のための特定財源とされ、総額3.6兆円の事業費のうち、当支援金で1兆円程度を確保することになります。
1.1 子ども・子育て支援金の主な使い道
子ども・子育て支援金が利用される事業は、「子ども・子育て支援法」により次のように定められています。
【児童手当】
- 児童手当の対象を高校生年代まで延長し、所得制限を撤廃します。また、第3子以降の支給額を3万円に増額します。
児童手当の拡充は、2024年10月分から開始されています。
【妊婦のための支援給付】
- 「出産・子育て応援交付金」として、妊娠届出時に5万円相当、出生届時に「5万円相当×子どもの数」の給付金(合計10万円)が交付されます。2025年度から制度化されています。
また、「伴走型相談支援」として、悩み相談などさまざまなニーズに対する支援も行われます。
【こども誰でも通園制度】
- 「こども誰でも通園制度」を創設し、1ヵ月あたり一定時間までの利用可能枠内で、柔軟に通園できる仕組みが構築されます。2025年度から制度化し、2026年度から給付化となります。
また、保育所対策として、「量の拡大から質の向上」へシフトチェンジし、保育士1人が担当する子どもの数を少なくします。
それに伴い、保育士の処遇改善も行われます。
【出生後休業支援給付】
- 男性の育休取得率目標が85%へと大幅に引き上げられます。男女ともに育休取得を促進するために、育児休業給付とあわせて手取り10割相当(最大28日間)の支給を目指し、令和7年4月から実施されています。
また、業務を代わりに行う社員に「応援手当」を支給するため、企業に助成金が支給されます。
上記以外にも、子ども・子育て支援金は、育児期間中の国民年金第1号被保険者の保険料免除措置(令和8年10月〜)や、「子ども・子育て支援特例公債」の償還金にも使われる予定です。
1.2 子ども・子育て支援金の1ヵ月あたりの負担額
子ども・子育て支援金は、健康保険料や国民健康保険料といった医療保険料と合わせて支払います。
加入している医療保険制度により、1人あたりの支援金額は以下のように試算されています。
【医療保険制度:令和8年度負担額/令和9年度負担額/令和10年度負担額】
- 全制度平均:250円/350円/450円
- 協会けんぽ:250円/350円/450円
- 健保組合:300円/400円/500円
- 共済組合:350円/450円/600円
- 国民健康保険:250円/300円/400円
- 後期高齢者医療制度:200円/250円/350円
後期高齢者医療制度の加入者は、令和8年度は200円、令和9年度は250円、令和10年度は350円を負担することが見込まれています。
2. 【収入別】年金収入のみの「単身シニア世代」負担額の目安
では、年金収入のみの単身シニア世帯の負担額はいくらくらいになるのでしょうか。
後期高齢者医療制度における支援金負担については、医療分と同様に低所得者向けの軽減措置が取られます。
年金収入(年額)ごとの負担する支援金額と軽減措置は以下の通りです。
【年金収入(年額):支援金額(月額):軽減措置】
- 80万円 :50円:均等割7割軽減
- 160万円:100円:均等割7割軽減
- 180万円:200円:均等割5割軽減
- 200万円:350円:均等割2割軽減
- 250万円:550円:軽減なし
- 300万円:750円:軽減なし
年金収入のみの方のうち、80万円〜200万円がボリュームゾーンとされており、それぞれ年収に応じた軽減措置を受けられます。
なお、年収250万円以上の世帯は、全体の約1割とされており、軽減措置は取られません。
3. まとめ
子ども・子育て支援金は、すべての世代で子どもや子育て世代を支援する仕組みのため、年金収入のみの方も負担する必要があります。
後期高齢者医療制度の支援金については、所得ごとに軽減措置が設けられていますが、医療保険料が増えると生活費に充てる分が減少することになります。
物価高騰ですでに生活費が不足している世帯も少なくないところに、医療保険の負担が加わることで、経済的な不安を感じる方もいるでしょう。
とはいえ、少子化対策は重要な施策であるため、制度の概要を十分に理解したうえで医療保険料の増額に備えましょう。
参考資料
木内 菜穂子