2025年も師走に入り、住宅ローンの支払いや教育費の工面に追われながら、慌ただしく年末を迎えようとしている働き盛り世代のみなさんも多いでしょう。
40歳代・50歳代であれば、「今は支出が多くて大変だが、老後は年金でゆとりを持って暮らせるはず」 そう考えてしまいがちですが、最新の統計データが示す現実は少し異なるようです。
総務省の調査によると、65歳以上の無職世帯では、年金だけでは生活費を賄えず、毎月3万円以上の「赤字」が出ているという実態が明らかになりました。
私たちは将来の家計収支をどう見据え、NISAなどを活用した資産計画を立てればよいのでしょうか。シニア世代のリアルな家計と貯蓄事情から、今から備えておくべきマネープランのヒントを探ります。
1. 【生活費】65歳以上、無職夫婦世帯「みんなの平均」はいくら
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)
収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支
- ひと月の赤字:3万4058円
- エンゲル係数:29.8%
- 平均消費性向:115.3%
この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。
収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。
そのため、不足分は貯蓄を取り崩してカバーしているのが実情です。
