今年も残すところあとわずかとなり、年末調整の書類とにらめっこしながら、来年のお金の計画を考え始める季節となりました。
40歳代、50歳代と年齢を重ねるにつれ、漠然とした不安から具体的な関心事へと変わるのが「老後の生活費」ではないでしょうか。
2024年から始まった新NISAを活用した資産形成に注目が集まるかたわらで、どれだけ準備が必要かを見積もる上でも、老後の収入の柱となる「公的年金」の理解は欠かせません。
「標準的な夫婦は2カ月で約46万円もらえる」と聞いても、それが自分に当てはまるのか実感しにくい方も多いでしょう。
また、制度自体も変化し続けており、2025年には私たちの働き方にも関わる法改正が成立しました。
この記事では、公的年金の基本的なしくみから、気になる受給額の目安、そして40歳代以上の方にこそ知ってほしい最新の制度改正まで、老後設計の土台となる情報をわかりやすく解説します。
ご自身の将来を考える第一歩として、ぜひご一読ください。
1. 日本の公的年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て
公的年金は、基礎部分となる「国民年金」と、上乗せ部分にあたる「厚生年金」から成り立つ2階建て構造です。
国民年金は原則として、国内在住の20歳以上60歳未満の全ての人が加入対象で、年金のベースとなります。国民年金保険料(※1)は全員一律です。
厚生年金は企業や官公庁などで働く人たちが、国民年金に上乗せして加入する年金です。毎月の給与や賞与に応じた年金保険料(※2)を納めます。
国民年金保険料を全期間(480月)納めると、65歳以降で満額(※3)の老齢基礎年金を受け取ることができます。未納期間があった場合は、その月数に応じて満額から差し引かれるしくみです。
厚生年金は、「年金加入月数」と「納めた保険料」により、老後の年金額が決まります。
上記の年金額の決まり方からは、実際に受け取る年金額は一人ひとり異なります。ただし厚生労働省が毎年度の年金改定内容とともに公表する「年金額例」が、一つの目安となることもあるでしょう。
具体的には、最新となる2025年度の年金額例によると「標準的な夫婦世帯」は12月の年金支給日に「約46万5000円」支給されます。
※1 国民年金保険料:2025年度は月額1万7510円
※2 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
※3 国民年金の満額:2025年度は月額6万9308円
