年末に向けて支出が増えるこの時期、家計の負担感を覚える家庭も増えています。

物価上昇が止まらない中、年金に頼る高齢者世帯の暮らしはどのような状況にあるのでしょうか。

今回は、総務省や厚生労働省のデータをもとに、65歳以上・無職夫婦世帯の平均的な「貯蓄額」「月の生活費」「年金月額」を整理し、今のシニア世代がどのくらいの資金で生活しているのかを見ていきます。

1. 食品の値上げ、10カ月連続で前年上回る

帝国データバンクが9月30日に公表した「食品主要195社の価格改定動向調査」によると、2025年10月の飲食料品の値上げは3024品目にのぼり、前年同月(2924品目)を100品目上回りました。増加率は3.4%で、10カ月連続で前年を超える結果に。

分野別では、焼酎やリキュール、日本酒などを中心とする「酒類・飲料」が最も多く、2262品目に達しています。

2025年通年でも同分野の値上げは4871品目と突出しており、ビールや清涼飲料水、ワインなど広範囲で価格改定が進み、前年比で8割を超える大幅増となりました。

続いて多かったのは「加工食品」で340品目。包装米飯や餅など日常的に消費される製品が中心です。

また、「調味料」分野では焼肉のたれやみそ製品など246品目が値上げされています。

このように、日常の食卓に欠かせない品目の多くで価格が引き上げられており、家計への影響は一段と強まっています。

食品の値上げは、統計を開始した2022年以降で最長となる連続増加期間を更新中です。10月は単月として5カ月連続で1000品目を超え、さらに4月(4225品目)以来、6カ月ぶりに3000品目台へと再び上昇しました。