果たして日本の職場は、この問題について無関心のままでいいのでしょうか。イベント第二部では、企業や個人が男女格差の解消を意識することの大切さについて、RIZAPグループ株式会社取締役の松本晃氏、カルビー株式会社フルグラ事業部本部長の藤原かおり氏がパネルディスカッションを行いました。

カルビーのCEOも歴任した松本氏は藤原氏とともに、スナックが主力だったカルビーでシリアル食品のフルグラ(フルーツグラノラ)の売上を5年間で30億円から300億円規模まで伸ばした功績があります。

松本氏は藤原氏に、「『フルーツグラノーラ』の呼び方を短くしなさい。売上を30億から100億にしなさい」と指示しただけだと言います。その後、具体的なプロジェクトはすべて藤原氏が担ってきたそう。

そして組織のトップとしてさまざまな企業を担ってきた経験から、「自分が好きな人や扱いやすい人だけを集めていけば組織はダメになる。成果を求めていくと、優秀な人材の男女差や就業時間は関係ないことがわかる」と断言しました。

男女平等では誰かが損をする?

続けて松本氏は、「ダイバーシティと働き方改革はセット」だと念を押します。「職場における男女平等が難しいのは、誰かが損をするから。女性を登用すればその分の男性の席がなくなる。ただ単に女性を増やして男性を減らすやり方では、男性が賛成するはずはない」と言います。

そのため「女性が水面下で騒いでも何も変わらない。トップが変えようと動かなければ絶対に変わらないのが組織」と主張しました。

藤原氏も、「ダイバーシティとともに働き方改革を推し進めることは、女性だけではなく、男性にとってもメリットが大きい。育児や介護といったプライベートの問題への対応だけでなく、自分の成果が正当に評価されることにつながる」と同意。

「世の中の半分は女性なのにマネジメント層は男性ばかり」と気付いたことで現在のような考えになったという松本氏の提言からは、働き方や男女格差の問題をシンプルに捉えている姿勢が伺えました。企業にとって大事なことを突き詰めていけば、この問題は組織のトップだけでなく個人にとっても避けては通れないことは明らかです。

働き方改革とともに、職場の男女平等をどう考えていくのかは個人レベルにまで問われているのではないでしょうか。

秋山 悠紀