3. みんなの年金収入はどのくらい?

では、現代シニアはどのくらいの年金を受け取っているのでしょうか。

厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、全体・男女別の平均年金月額と、受給額ごとの受給権者数を見てみましょう。

厚生年金・国民年金の平均月額

厚生年金・国民年金の平均月額

出所:厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

【国民年金の平均月額】

  • 全体 5万7584円
  • 男性 5万9965円
  • 女性 5万5777円

【厚生年金の平均月額】

  • 全体 14万6429円
  • 男性 16万6606円
  • 女性 10万7200円

※国民年金部分を含む

仮に、単身世帯で年金を月額14万円(年間168万円)受け取っている場合、他に収入がなければ医療費の自己負担割合は「1割負担」となります。

一方で、「課税所得が28万円以上」かつ「年金収入とその他の所得の合計が200万円以上」の場合は、「2割負担」に引き上げられます。

そのため、年金以外に収入がある場合は、医療費の自己負担が増える可能性を考慮しておくことが大切です。

また、年金の支給開始を遅らせる「繰下げ受給」を選ぶ際にも注意が必要です。

年金の繰下げ受給

年金の繰下げ受給

出所:日本年金機構「年金の繰下げ受給」

繰下げ受給では、1ヵ月繰り下げるごとに年金額が0.7%ずつ増額され、最長(75歳まで)で84%の増額となります。

しかし、その分年金収入が増えることで、所得が上がり、自己負担割合が高くなる場合があります。

年金を増やすメリットと、医療費負担が増えるリスクの両面を踏まえて判断することが重要です。

4. まとめ

後期高齢者医療制度では、所得に応じて医療費の自己負担割合が変わります。

年金収入やその他の所得が一定額を超えると2割負担となるため、収入の把握と調整が大切です。

特に繰下げ受給などで年金額が増えると、思わぬ形で負担が上がる可能性もあります。

自分の世帯がどの区分に該当するかを確認し、医療費の変化を見据えた家計設計を意識しておきましょう。

参考資料

加藤 聖人