物価上昇などにより、年金だけでは家計が苦しいという高齢者世帯が増えています。この負担を軽減する目的で実施されている制度が「年金生活者支援給付金」です。
所得が一定基準以下の受給者を対象に、公的年金に上乗せして支給される制度ですが、すべての人が自動で受け取れるわけではありません。
条件に当てはまっていても、申請手続きを行わないと給付が受けられない点に注意が必要です。
また、2026年1月5日までに手続きを済ませれば、原則として最大3ヵ月分までさかのぼって受給可能です。この記事では、対象者の条件、給付基準額、申請手続きの流れをわかりやすく解説します。
1. 「年金生活者支援給付金」は3種類!支給要件をチェック
「年金生活者支援給付金制度」は、公的年金を受給している方のうち、所得が一定基準以下の方を対象に、年金に上乗せして給付が行われる制度です。
物価上昇や年金収入の減少により生活が不安定になりやすい高齢者を支援する目的で、2019年10月の消費税率引き上げに合わせて導入されました。
対象者に該当すると、年金の振込額に加えて給付金が支給されます。ただし、年金受給者であっても誰でも受け取れる制度ではありません。
所得額や世帯の状況など、一定の要件を満たす必要があります。
1.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
年金生活者支援給付金は、「老齢」「障害」「遺族」の3区分があります。
このうち「老齢年金生活者支援給付金」は、老齢基礎年金の受給者で、所得が一定基準以下の方に支給される給付金です。
対象となる主な条件は次のとおり。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
「障害年金生活者支援給付金」と「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件は以下のとおりです。
- 障害基礎年金もしくは遺族基礎年金の受給者
- 前年の所得(※1)が479万4000円(※2)以下
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれません。
※2 扶養親族等の数に応じて増額。
